最新記事

選挙

モルディブ大統領選、中国重視の現職破り野党候補が勝利宣言

2018年9月24日(月)18時40分

9月24日、インド洋の島国モルディブで23日に大統領選が行われ、野党連合のイブラヒム・モハメド・ソリ氏(写真)が、2期目を目指す現職アブドラ・ヤミーン氏に開票率92%時点で16%の差をつけて勝利したと宣言した(2018年 ロイター/Ashwa Faheem)

インド洋の島国モルディブで23日、大統領選が行われ、野党連合のイブラヒム・モハメド・ソリ氏が、2期目を目指す現職アブドラ・ヤミーン氏に開票率92%時点で16%の差をつけて勝利したと宣言した。

ニュースサイトMihaaruによると、472の投票箱のうち446を開票した段階での暫定結果で、得票率はソリ氏がヤミーン氏を16.6%上回っている。

ソリ氏は首都マレで記者団に対し「国民は変化、平和、公正を求めている。ヤミーン大統領に、国民の意思を受け止め、憲法に従い円滑な権力移行を始めるよう要請する」と述べた。

有権者が投票所で長い列を作ったため、モルディブの選挙管理委員会は投票時間を3時間延長した。

ヤミーン氏が率いるモルディブ進歩党(PPM)の幹部はロイターに対し、同氏が高い支持を集める地域からの投票結果はまだ公表されていないと述べた。

同氏のメディア担当者はソリ氏の勝利宣言に関するコメントを控えた。

選挙管理委員会は憲法規定に従い、9月30日までに公式結果を発表するとしている。

米国とインドは平和的に行われた選挙を歓迎すると表明。ソリ氏率いる野党連合が勝利した可能性が高いとした。

野党幹部によると、少なくとも5人の野党支持者が「有権者に影響を与えた」として拘束され、警察が22日夜に「違法行為を阻止」するため主要野党のオフィスを強制捜索したという。

欧州連合(EU)と国連の団体を含む大半の選挙監視団体は、モルディブ政府から選挙監視要請を受けたものの、選挙監視を行えば、不正投票があった場合でもヤミーン氏再選への支持に利用されかねないとして、要請を断った。

ただ選挙を監視した団体の一つ、トランスペアレンシー・モルディブは、投票は当初円滑に行われ、ソリ氏が勝利する見通しだとし、「すべての当事者に平和的な権力移行を促す環境の維持を求める」とした。

モルディブを巡っては、従来のパートナー国であるインドと、ヤミーン氏のインフラ関連の取り組みを支援してきた中国との間で対立がみられている。西側諸国では中国の影響力拡大への懸念が広がった。

ヤミーン氏は2月、同国初の民主選挙で選ばれたナシード元大統領ら野党関係者9人に対する有罪判決を無効とする最高裁の判断を受け入れず、非常事態宣言を発令。政治的な混乱が続いている。

[マレ 24日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7、ロシアに圧力強化必要 中東衝突は交渉で解決を

ビジネス

ユーロ高大きく懸念せず、インフレ下振れリスク限定的

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事

ビジネス

再送(11日配信記事)豪カンタス、LCCのジェット
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中