最新記事

米中関係

トランプ、中国ハイテク企業ZTEに罰金最大13億ドルと経営陣刷新求める案を提示

2018年5月23日(水)09時54分

5月22日、トランプ米大統領は中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)に対し13億ドルの罰金を科し、経営陣の刷新を求める案を明らかにした。写真は2016年3月22日、北京で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

トランプ米大統領は22日、中国通信機器大手の中興通訊(ZTE)<0763.HK><000063.SZ>に対し最大13億ドルの罰金を科すとともに、経営陣の刷新を求める案を明らかにした。ホワイトハウスで記者団に語った。

トランプ大統領は中国との通商協議について、中国政府とZTEを巡る合意はないと述べた。ただ、ZTEは罰金を支払うと同時に経営陣を刷新し、新たな取締役を任命する必要があるとの考えを示した。

大統領に新たな金銭的制裁を科す権限があるかどうかは不明。

米商務省は4月、北朝鮮とイランに対する禁輸措置にZTEが違反した問題で米国との合意条件にも違反したとして、米企業が同社に部品などを輸出することを禁じる制裁を発動した。

関係筋によると、米国は米企業によるZTEへの製品販売を7年間禁止する措置を解除し、見返りに中国は米国産農産品の関税撤廃か輸入拡大で対応する案が米中協議で提案されている。

トランプ大統領は、この措置で米企業も痛手を受けていると指摘。「米企業に打撃を与えずに、ZTEに大きな代償を払わせることはできる」と述べた。ZTEは措置を受け、ほとんどの生産を停止している。

大統領の発表を受け、米議会では共和、民主両党がZTEに対する制裁を緩和しないよう求めている。

上院民主党トップのシューマー院内総務と上院共和党ナンバー2のコーニン院内幹事を含む上院議員26人は連名でトランプ政権に書簡を送り、「ZTEなど、周到に準備をした上で米国の法令にたびたび違反する企業」への制裁を維持するよう要求した。

上院銀行委員会は、中国の通信企業への制裁を巡り大統領の修正を困難にする措置を賛成23、反対2で可決した。

共和党のルビオ上院議員は、中国が通商協議や北朝鮮の非核化を巡り優位に立っているようだとした上で、「中国は米政権内に合意を切望している人物がいることを知っている」と指摘。また「われわれは拒否権が行使できない議会対応を検討し始めた」とツイッターに投稿した。

[ワシントン 22日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 AIの6原則
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月22日号(7月15日発売)は「AIの6原則」特集。加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」/仕事・学習で最適化する6つのルールとは


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラがインド市場参入、「モデルY」を7万ドルで販

ビジネス

訪日客の売り上げ3割減 6月、高島屋とJフロント

ビジネス

ヤゲオ、芝浦電子へのTOB期間を8月1日まで延長 

ワールド

トランプ政権、不法移民の一時解放認めず=内部メモ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 2
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 3
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 4
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 5
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 6
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 7
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 10
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中