最新記事

移民

トランプ、不法入国対策へメキシコ国境を軍隊で警備する方針表明 法的問題も

2018年4月4日(水)10時15分

4月3日、トランプ米大統領は、メキシコとの国境沿いに壁が建設され「適切な安全」が確保されるまで、軍隊を出動させて国境を警備する方針を示した(2018年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領は3日、メキシコとの国境沿いに壁が建設され「適切な安全」が確保されるまで、軍隊を出動させて国境を警備する方針を示した。

トランプ大統領はホワイトハウスで記者団に対し、米国への不法な入国を食い止める必要があるとし、「壁が建設され適切な安全が確保されるまで、国境を軍隊を用いて警備する。これは大きな一歩となる」と発言。この件に関してマティス国防長官らと同日協議したことを明らかにした。

ただ、国内への軍隊配備には法的な問題が伴うほか、大統領は国境警備にあたらせる軍隊の規模や目的について詳細に触れていない。

連邦法の民警団法では、議会の承認がない限り、米領土内における民間の法執行業務のための軍隊の出動を禁じている。しかし、軍隊が国内での法執行を支援することは可能で、1980年代以降、国境管理のための情報提供など軍が法執行を支援するケースがたびたびあった。

また、暴動制圧や災害時の救助などで国内に軍を出動させる権限を大統領に与える特別規定も存在する。

下院の共和党幹部によると、米軍によるメキシコ国境の警備に関して主要な議員はホワイトハウスから説明を受けておらず、具体的な計画が策定されていない可能性があるという。

一部の議員からは大統領の計画に否定的な意見が出ている。

メキシコの駐米大使はCNNに対し、トランプ大統領の方針は「メキシコ政府として歓迎するものではない」と発言。大統領の方針についてすでに米国土安全保障長官と協議し、メキシコ政府として正式に米政府に説明を求めたと明らかにした。

一方、メキシコ当局は、トランプ大統領の要請に応じ、ホンジュラスなど中米諸国からメキシコに入り、米国を目指す移民への入国審査を厳格化している。

[ワシントン 3日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米、高金利で住宅不況も FRBは利下げ加速を=財務

ワールド

OPECプラス有志国、1─3月に増産停止へ 供給過

ワールド

核爆発伴う実験、現時点で計画せず=米エネルギー長官

ワールド

アングル:現実路線に転じる英右派「リフォームUK」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 5
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中