EU、米輸入制限に「露骨な干渉で断固対抗」 カナダ・ブラジルも反発
3月1日、欧州連合(EU)は、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動させる方針を示したことについて、米産業保護に向けた「露骨な干渉」だと批判し、対抗策を数日内に提示すると発表した。写真は批判声明を発表したユンケル欧州委員長。ブリュッセルで2014年5月に撮影(2018年 ロイター/Eric Vidal)
欧州連合(EU)は1日、トランプ米大統領が鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限を発動させる方針を示したことについて、米産業保護に向けた「露骨な干渉」だと批判し、対抗策を数日内に提示すると発表した。
トランプ大統領は1日、鉄鋼輸入品に対し25%、アルミニウム製品には10%の関税を課す方針を来週発表することを明らかにした。
ユンケル欧州委員長は声明で「米産業を保護するための露骨な干渉を意味し、いかなる国家安全保障上の理由でも正当化できない」と批判、「極めて遺憾」と表明した。
そのうえで「不公正な措置で欧州の産業が痛手を受け、多くの雇用がリスクにさらされるのを静観するわけにはいかない。EUはその利益を守るため、同等の措置を用いて断固として対抗する」とした。欧州委員会が世界貿易機関(WTO)ルールに沿った措置を数日内に提示すると説明した。
欧州鉄鋼業界を代表する欧州鉄鋼連盟(Eurofer)のアクセル・エッゲルト事務局長は、米国は輸入割り当てではなく25%の関税を導入することで、通商上の対立を選んだとして批判。
「2017年に500万トンに上ったEUの対米鉄鋼輸出は推定50%以上急減する見通し」だとした。そのうえで、欧州委が対抗策を講じる方針を示したことを歓迎した。
カナダ政府もまた、米鉄鋼・アルミ関税に報復措置を講じる構えだと当局者らが1日、明らかにした。
カナダとメキシコは米国と北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を進めており、今回の関税がカナダとメキシコに適用されるかどうかは不明。
フリーランド外相は「輸入制限がカナダ製鉄鋼・アルミ製品にも課されるならば、カナダは通商上の利益と労働者を保護するために対抗措置を実施する」と表明。いかなる貿易制限も「決して容認できない」と強調した。
フリーランド氏は、カナダは米国製鉄鋼の最大の輸出先で、米国の輸出の半分を占めており、鉄鋼とアルミ産業は結び付きが強いと指摘。カナダは米国への最大のアルミ供給国。