最新記事

日本経済

直前まで存在した黒田退任=本田日銀総裁案 強い安倍首相の脱デフレ決意

2018年2月27日(火)17時34分


政府は円高防止に力点

2月上中旬の市場変動でいったん下げた日米の株価は戻り基調だが、ドル/円は106円台を中心とする動きとなり、110円台に戻っていない。日本企業にとっては、業績下押し要因になる。

ある政府高官は「円高にしないことが、金融政策の最も重要なポイント」と断言する。

マーケットは一時、日銀の出口模索を懸念し、日銀による国債買入量の小幅削減でも、円高材料として「意識」した時期があった。

その後、黒田総裁の「火消し発言」が繰り返され、足元の長期金利はは0.04%台まで低下している。

ある関係者は、黒田新体制が官邸の意向を視野に入れつつ、しばらくの間は現行の超緩和政策と「出口検討」は時期尚早という路線を継続することになるだろうとの見通しを示す。

政府部内には、財政拡張に積極的だった本田氏が正副総裁に就任しなかったことで、19年10月の消費税率10%引き上げは、現実味が高まったとの見方が出ている。

だが、アベノミクスを政権発足時から支えてきたリフレ派に対する安倍首相の信頼感は、今回の人事の経過を見ても揺らいでいないようにみえる。

増税対策で大幅な財政支出の観測も浮上する中、アベノミクスの柱であり続ける日銀の金融政策は、政府との新たな「二人三脚」をスタートさせることになる。

(ポリシー取材チーム 編集:田巻一彦)

[東京 27日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国が「米国のエネルギー」購入プロセス開始、トラン

ビジネス

独VW、第3四半期は赤字に転落 ポルシェ戦略見直し

ビジネス

独プーマ、来年末までに900人を追加削減へ 売上減

ビジネス

見通し実現の確度は高まっている、もう少しデータ見た
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨の夜の急展開に涙
  • 4
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 5
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理…
  • 6
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 7
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 10
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中