最新記事

自然

トランプ大統領令で消滅の危機、米国定公園15の絶景

2017年4月28日(金)20時00分
クリス・リオッタ

国定公園の指定が取り消されれば開発で自然の景観が失われるかもしれない(写真はアリゾナ州のバーミリオン・クリフス) REUTERS

<今週トランプは大統領令で、96年以降に歴代大統領が指定した国定公園の見直しを命じた。指定が取り消されて開発が許されれば、資源開発などで雄大な自然の絶景が失われる可能性も>

大統領就任から100日を迎えるドナルド・トランプは、法案成立という点から見れば大した成果はあげていない。しかし毎回、物議を醸す一連の大統領令で、アメリカの今後数年に及ぶ国内政策、そしてアメリカの風景を根本的に変えてしまいそうだ。

アメリカの国定公園(ナショナル・モニュメント)では、1906年制定の米国遺跡保存法が定める大統領権限で、自然や文化を守るために開発が規制されている。今週26日にトランプが署名した大統領令は、国定公園の一部の指定を見直すもので、今後国定公園が開発で荒らされてしまうおそれがある。

対象となるのは、およそ400平方キロ以上の広さで、最近20年以内に指定された24の国定公園。政府による指定の見直しが行われ、規模や範囲が変更されたり、場合によっては指定が取り消される可能性もある。

【参考記事】トランプの「反・温暖化対策」に反対する意外な面々

署名にあたってトランプは、「今日ここに来ている多くの地元関係者にも話を聞いた。皆さん大変に国土保全を気にかけているが、同時に広大な土地が公園に指定されている(ために開発できない)ことを深く憂慮している」と語った。

「我々はまず、そもそも当初から指定されるべきではなかった土地を解放する。そのことで素晴らしい土地を、非常に有効に活用できるだろう」

見直しの対象となる国定公園のうち、いくつか見てみよう。


ベアーズ・イヤーズ(ユタ州)

webw170428-bears.jpg

オバマ前大統領によって昨年12月に指定された新しい国定公園。ネイティブアメリカンのいくつかの種族が、宗教的、文化的な活動を行っている。約5500平方キロの広大な土地 REUTERS


地元ユト族代表のショーン・シャポスは声明で、「ネイティブアメリカンの部族は力を合わせ、部族の民だけでなく土地との繋がりを持つ人々のために、土地を守る戦いを続けていく」と述べている。


グランド・ステアケース‐エスカランテ(ユタ州)

webw170428-escalante.jpg

ユタ州南部、7285平方キロの広大な土地に、セコイアの大木が点在している。地域経済の軸となっている観光収入が減るおそれがある(写真は署名するクリントン大統領〔当時〕) REUTERS


パパハナウモクアケア海洋国定公園(ハワイ州)

webw170428-papaha.jpg

日本でも知られる「パール・アンド・ハーミーズ環礁」を含む海域。オアフ島から約1900キロ北西に位置する(写真は説明を受けるオバマ大統領〔当時〕) REUTERS


カスケード‐シスキユー(オレゴン州)

webw170428-siskiyou.jpg

山々と岩場を縫うように多くのトレイルが走る。写真は公園内に生息するオオカミ REUTERS

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア「H20」は安全保障上の懸念=中国国営

ワールド

中国、米にAI向け半導体規制の緩和要求 貿易合意の

ワールド

北朝鮮、軍事境界線付近の拡声器撤去を開始=韓国軍

ワールド

米、金地金への関税明確化へ 近く大統領令=当局者
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客を30分間も足止めした「予想外の犯人」にネット騒然
  • 2
    なぜ「あなたの筋トレ」は伸び悩んでいるのか?...筋肉は「光る電球」だった
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 5
    輸入医薬品に250%関税――狙いは薬価「引き下げ」と中…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    伝説的バンドKISSのジーン・シモンズ...75歳の彼の意…
  • 8
    60代、70代でも性欲は衰えない!高齢者の性行為が長…
  • 9
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 5
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 6
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 7
    【クイズ】次のうち、「軍用機の保有数」で世界トッ…
  • 8
    職場のメンタル不調の9割を占める「適応障害」とは何…
  • 9
    こんなにも違った...「本物のスター・ウォーズ」をデ…
  • 10
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
  • 10
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中