最新記事

イギリス

メイ英首相「労働者に寄り添う新保守党に」、特権階級寄りから決別

2016年10月6日(木)10時47分

 10月5日、メイ英首相は中銀が金融危機後に導入した低金利やQEなどの異例の措置はマイナスの副作用があり、成長促進に向けた新たな方策を模索する時期が来たとの認識を示した(2016年 ロイター/Stefan Rousseau)

メイ英首相は5日、自身が率いる保守党の年次大会の閉幕にあたり演説し、上流階級への反発から欧州連合(EU)離脱を求めた労働者階級に政府は寄り添うべきとの新たな方針を示した。

従来から付きまとってきた富裕層や権力者を守る党というマイナスをイメージを払しょくしたいとし、キャメロン前首相の路線とは一線を画す姿勢を鮮明にした。

「われわれには英国を一つにし、中道に根付き結束した新しい英国にするという大胆な計画がある」とし、時に特権階級に立ち向かうことを恐れず、常に労働者階級の利益に基づき行動する「近代的な保守」を目指す考えを示した。

メイ首相は「労働者のための党」という最大野党・労働党の看板を今こそ保守党が奪うときだと訴えた。労働党内では国民投票後、EU残留に向けた取り組みが不十分だったとしてコービン党首への不満が続出。先の党首選で同氏は再選したが、内部分裂の危機にある。

側近によると、メイ首相は英国北部をはじめ、数百万人の英国民がEU離脱を支持した根本的な原因に取り組むことに意欲的だという。

メイ首相はまた、中銀が金融危機後に導入した低金利や量的緩和(QE)などの異例の措置はマイナスの副作用があり、成長促進に向けた新たな方策を模索する時期が来たとの認識を示した。

首相は「超低金利と量的緩和策による金融政策は、金融危機後に必要な応急処置を提供したが、悪い副作用があったことも認識すべきだ」と指摘した。

「資産を持つ者はさらに裕福に、持たざる者は苦しんだ。住宅ローンを抱える者は債務コストが下がり、預金者はより貧しくなった」とし、「変化が必要であり、われわれはこれを実行する」とした。

首相はまた、政府として財政均衡を引き続き目指す考えを示した。



[バーミンガム(英国) 5日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米テキサス州洪水の死者32人に、子ども14人犠牲 

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ

ワールド

イスラエル、カタールに代表団派遣へ ハマスの停戦条

ワールド

EU産ブランデー関税、34社が回避へ 友好的協議で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 8
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中