最新記事

軍拡

ロシアが戦闘機とミサイルで「北極軍」を増強

北極圏での領有権拡大を試み、軍拡を推し進める意図は

2015年9月2日(水)17時30分
ダミアン・シャルコフ

防空力を強化 ロシアのスホーイSU-35戦闘機 Maxim Shemetov - REUTERS

 ロシアが北極で軍拡を進めている。同国のセルゲイ・ショイグ国防相は8月31日、戦闘機と地対空ミサイルを2015年末までに北極圏の軍事施設に配備する計画だと、国営タス通信に語った。

 北極海に領海を持つのは、ロシアのほか、アメリカ、カナダ、ノルウェー、デンマーク。ロシアは繰り返し北極圏での領有権拡大を主張してきた。最近では8月にも、エネルギー開発をめぐり、海岸から約650キロメートル沖までの約120万平方キロメートルの大陸棚をロシアの領海とする提案書を、国連に提出していたことが明らかとなった。

 ロシア国防省は海軍戦略の中で北極圏を最重要地域としており、昨年も同国最北部の再軍備を進めていた。今年1月には、フィンランドとの国境からわずか50キロしか離れていない最北のムルマンスク地域(不凍港がある)での基地拡張を発表している。

 そして今、ショイグ国防相によれば、同国最北の海軍施設に防空能力を加えようとしているのだ。「空軍力強化のため(戦闘機と地対空ミサイルの)配備作業に着手している」と、ショイグはタス通信に語っている。「年末に向けて、海軍と空軍、地対空ミサイル、そして防空司令部の編成を完成させる計画だ」

 その意図についてショイグは、ロシア北方のカラ海から太平洋に至るシーレーン防衛のためだと説明する。今回の動きは、北極での戦闘訓練を受けた自立可能な部隊、いわば「北極軍」を2018年までに設立する、より大きな戦略の一部でもある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:「高額報酬に引かれ志願」、若きウクライナ

ワールド

ハマス返還の人質の遺体、イスラエルが身元特定

ビジネス

日銀、12月会合で利上げの可能性強まる 高市政権も

ワールド

〔ロイターネクスト〕気候とエネルギー、なお長期投資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇気」
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中