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ポーランド大統領選睨みで水害対策が後回しに?
6月20日に大統領選が行われる予定のポーランドで大規模な水害が起きている。一部の地域では町じゅうの建物が浸水に見舞われ、住民の救助にヘリコプターが出動。アウシュビッツ強制収容所跡の博物館も、展示品の移動や一時閉鎖を余儀なくされた。
今回の大災害は大統領選にも影響を与えるかもしれない。ドナルド・トゥスク首相は、安全確保のために最大限の努力をすると国民に宣言。トゥスク率いる「市民プラットフォーム」から大統領選に立候補しているブロニスワフ・コモロフスキ大統領代行も同様の声明を出した。
野党側も水害に大きな関心を示している。飛行機事故で死亡した大統領の双子の兄で、右派政党「法と正義」から立候補しているヤロスワフ・カチンスキ前首相は、出馬後の最初の演説で洪水の話を大きく取り上げた。同陣営からは、政府が水害予防を怠っていたという非難の声も上がっている。
当面の問題は、水害対策に関する政府の判断に大統領選が影響を与えていること。非常事態宣言を発令すれば、憲法の定めによって選挙は最短でも3カ月延期される。非常事態宣言を政治的な目的に利用したと野党から批判されるのではないかという懸念が、政府に二の足を踏ませている。
(GlobalPost.com特約)
[2010年6月 9日号掲載]