最新記事

アート

【写真特集】ファッションで振り返る20世紀

A CENTURY OF FASHION PHOTOGRAPHY

2018年09月05日(水)17時00分

グレン・ルックフォード『Kate Moss, Times Square』1994 Los Angeles, J. Paul Getty Museum. Gift of Glen and Tanya Luchford, 2017.121.1. ©Glen Luchford

<商業目的であるファッション写真もまた、20世紀の時代の変遷を伝える重要なアートだ>

ファッション写真は、アートなのか? 商業目的という性質から、ファッション写真は長らく「芸術」というカテゴリーからこぼれ落ちてきた。人物や風景、抽象物を撮影した写真や報道写真などが時代を伝える作品として収集し展示されてきた一方で、商品を売るためのファッション写真には同等の価値が見いだされてはこなかった。

だが、ヴォーグ誌の表紙を飾ったり広告に使われたりしたファッション写真もまた、20世紀の時代の変遷を伝える重要なアートだ――そう訴え掛けてくる写真集『Icons of Style ――ファッション写真の1世紀』が7月に発売された。

1911年にパリのアール・エ・デコラシオン誌からの依頼で最初の「芸術的な」ファッション写真を撮影し、近代ファッション写真家の先駆けと言われるエドワード・スタイケンに始まり、20世紀のファッションシーンを記録する300枚以上を時代ごとに紹介。写真集の作品はロサンゼルスの美術館「ゲッティ・センター」で10月21日まで展示されている。

そこに並ぶファッション写真は、時代を映すアート作品にほかならない。


<1911-1929>
オートクチュールから既製服への転換が始まったこの時代、アメリカ人の写真家エドワード・スタイケンは、コンデ・ナスト社のヴォーグ誌やバニティ・フェア誌などで活躍。バロン・アドルフ・ド・メイヤーらと共に新しいファッション写真の先駆者となった

ppfashion01.jpg

エドワード・スタイケン『Lee Miller: The Evening Mode Is Fully Aware of the Back』1928 New York, Condé Nast


ppfashion02.jpg

『Model Wearing a Black Tuille Headdress』1925 New York, Condé Nast


<1930-1946>
世界大恐慌から第2次大戦までのこの時期は、ファッション雑誌に初めてカラー写真が登場したりファッション写真家が急増したりするなど暗い時代にあらがうような変化が見られた。ヴォーグ誌に掲載されたロシア人の写真家ゲオルグ・ホイニンゲンヒューネのIZODの水着の写真はあまりに有名だ

ppfashion03.jpg

ゲオルグ・ホイニンゲンヒューネ『Bathing Suits by Izod』1930 Collection of Richard and Allison Roeder. ©Horst


ppfashion04.jpg

マン・レイ『Model Wearing a Gown by Augustabernard』1936 Los Angeles, J. Paul Getty Museum, 84.XM.1000.53. ©Man Ray Trust ARS-ADAGP


<1947-1969>
第2次大戦後は移動やコミュニケーションの手段が発達し、ファッションの中心はパリからロンドン、ニューヨークへと広がった。30年に上海で生まれニューヨークに渡った若林康宏は「ヒロ」としてハーパース・バザー誌などで活躍した

ppfashion05.jpg

ヒロ『Black Evening Dress in Flight』1963 Los Angeles, J. Paul Getty Museum, Purchased with funds provided by the Photographs Council, 2012.24.2. ©Hiro


ppfashion06.jpg

ニール・バー『Diana Newman』1966 Los Angeles, J. Paul Getty Museum. Purchased with funds provided by the Photographs Council, 2016.94. ©Neal Barr

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECB、来年に地政学リスク巡る銀行のストレステスト

ビジネス

ブラックストーン、ペンシルベニア州のデータセンター

ビジネス

ルノー、25年通期見通し下方修正 ミントCFOが暫

ワールド

トランプ氏、ベトナムとの貿易協定「ほぼ完了」 詳細
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 5

    胸につけた「特別なリボン」は何?...キャサリン妃の…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…

  • 5

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:AIの6原則

特集:AIの6原則

2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?