最新記事

恋愛

実在した...アレクサに怒鳴る男 絶対にお断りした方がいい深いワケ

I Don’t Date Men Who Yell at Alexa

2018年07月20日(金)17時40分
レイチェル・ウィザーズ(ジャーナリスト)

多くの男性は女性に何かをしてもらうことを当然視している SLPHOTOGRAPHY/ISTOCKPHOTO; AMAZON.COM, INC. (AMAZON ECHO PLUS)

<スマートスピーカーへの口調はあなたの本質を物語る。女性の名前と声を持つ機器への態度が気になる訳>

ジェレミーが怒鳴り声で「アシスタント」に命令したとき、彼女はひるまなかった。けれど、私は動揺した。厳しくて偉そうなその口調。私に向かってではなくても、女性に対してそんな態度を取ることに嫌悪を感じた。

彼とデートし始めてから数週間、こんな言い方をされたことはない。でも、実はそういう男だとしたら? 彼の口調は傲慢で、自分が命令する立場にあることを誇示するために命令しているようだった。帰宅して部屋の明かりをつけたいなら、自分でドアの横のスイッチを押すほうが早い。なのに「アレクサ。電気をつけろ」と怒鳴るなんて。

この一件以来、私は男性が人工知能(AI)アシスタントを搭載したデジタル機器にどう話し掛けるか、観察するようになった。もちろん、誰もがジェレミーと同じではない。ある紳士は雷雨の音を流してとグーグルアシスタントに優しくお願いしたし、ある外科医はペーパータオルを注文してもらいたいとアレクサに礼儀正しく頼んだ。

子供への影響にも懸念が

スマートスピーカーは数年前に登場したばかりだが、急速に生活の一部になりつつある。アメリカで所有する人の割合は昨年末の時点で16%。同年1月から128%増加した。となれば、私は今後もスマートスピーカー利用のエチケットをめぐっていら立つことになるだろう。

アレクサを開発したアマゾン・ドットコムも同様の懸念を抱いているらしい。とはいえ心配しているのはデートの行方ではなく、子供たちのお行儀だ。同社は先日、子供用のスマートスピーカー「エコー・ドット・キッズエディション」を発表。質問する際に「プリーズ」と言うことを促す「マジックワード」機能を搭載しているという。

まさに絶好のタイミングだ。スマートスピーカーが社会性の発達に与える影響を危惧する親は多い。丁寧な言葉遣いをする必要のない「お手伝いさん」がいたら、子供の態度はどう変化するか。将来、過度に尊大な人間になるのではないか──。「スマート」な電化製品に囲まれた環境で育つ体験の長期的影響は研究されておらず、予測するのも難しい。

同じことは大人にも言える。口調を気にしないロボットに何かをしてもらう場面が増えたら、ただでさえ揺らいでいる最低限の礼儀という概念はどうなってしまうのだろう?

エチケットは後天的に習得されるもので、忘れることは簡単だ。言語学者は、AIアシスタントによって今の子供世代がより単純な言葉遣いを好むようになるのではないかと懸念するが、大人の言語表現だって影響を受けることは間違いない。

アレクサやアップルのSiri(シリ)にどんな話し方をするかは、その人物への私の見方に既に影響を与えている。バーチャルなアシスタントとの対話には、人間を相手にした場合と共通するものがあるからだ。

アレクサは人間ではないが、私たちとアレクサとの関わりは人間的だ。店員やウエーターへの態度は性格を物語るとされる。アレクサへの態度も究極的には同じ。問われているのは、上の立場になったときに下の立場にある人々にどう接するかだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ436ドル安、CPIや銀行決算受

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 4

    胸につけた「特別なリボン」は何?...キャサリン妃の…

  • 5

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…

  • 5

    「ハイヒールを履いた独裁者」メーガン妃による新た…

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    カーダシアンの顔になるため整形代60万ドル...後悔し…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:AIの6原則

特集:AIの6原則

2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?