最新記事
科学

細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】

Bioengineers Reveal Key to Reversing Cellular Aging

2025年2月23日(日)09時55分
イアン・ランドル(科学担当)
細胞

Mahmoud-Ahmed-pixabay

<加齢にまつわるさまざまな病気の新たな治療法となる可能性が期待される研究最前線について>

細胞の「若さ」と「老化」を切り替えるタンパク質が、細胞の老化を逆転させるカギを握るかもしれない...。

大阪大学の研究チームは、異なる年齢の細胞におけるタンパク質「AP2A1(アダプタータンパク質2アルファ1サブユニット)」の発現を調査。その結果、驚くべき知見が得られたという。


 

「非常に興味深い結果」と述べるのは、本研究の執筆者の一人である出口真次教授だ。

「老化した細胞でAP2A1を抑制すると、老化が逆転し、細胞の若返りが促進されました。一方で、若い細胞でAP2A1を過剰発現させると、老化が進行します」と説明する。

年齢を重ねるにつれ、活動性の低下した細胞がさまざまな臓器に蓄積していく。こうした「老化細胞」は若い細胞よりも明らかに大きく、相互作用を助ける細胞の構造部分である「ストレスファイバー(Stress fiber)」の構成も異なっている。

「なぜ老化細胞がこれほどの大きさを維持できるのか、いまだに完全には理解できていません」と述べるのは、本研究の別の執筆者であるピラワン・チャンタチョティクル(Pirawan Chantachotikul)氏だ。

研究チームが着目したのは、老化細胞のストレスファイバーが多く産出することで知られるAP2A1タンパク質だ。

研究では、線維芽細胞(組織の構造を維持する細胞)や上皮細胞(皮膚や臓器の内外を覆う細胞)を培養し、老化細胞でのAP2A1産生を抑制するとともに、若い細胞での発現を増加させ、その影響を分析した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トヨタ、前期の会長報酬19億円超で最高更新 政策株

ビジネス

英CPI、5月は+3.5%で予想と一致 食料品が1

ビジネス

午後3時のドルは145円付近で売買交錯、中東情勢に

ビジネス

米関税、韓国の国内物価に下押し圧力も 中銀が指摘
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中