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オタクにとって日本ほど居心地の良い国はない

OTAKU JOY

2022年8月13日(土)11時20分
はちこ(会社員、『中華オタク用語辞典』著者)

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2019年12月のコミックマーケット(コミケ97)で同人誌『中華オタク用語学習帳』を手にするはちこ氏 HAJIME KIMURA FOR NEWSWEEK JAPAN

その点、日本は配信でもDVDでも過去作品を視聴する環境が整っている。いや、「見る」だけではない。オタクにとって醍醐味と言えるのが同人活動。同好の士と語らい、同人誌を買うのは楽しい体験だ。

日本でははるか昔に完結した作品でも、その二次創作物が生み出され続けていることが多く、後からファンになった者でも楽しめる。私は最近、『ヒカルの碁』にハマった。20年近く前のアニメだが、今も同人活動を続けているサークルが相当数ある。

また、古い同人誌は東京で言えば秋葉原や池袋にある専門の販売店で購入できるが、いわゆるカップリング(キャラクター同士の恋愛もの)については細かに分類・陳列されていて気が利いている。オタクは厄介なもので、自分の好きなカップリング以外は目にも入れたくない。そうした需要に応え、欲しいものだけに行き当たるよう工夫されている。

オタク業界に限らず、コンテンツ企業の細やかさは驚くほどだ。映画のグッズ付き前売り券はバリエーションが豊富。舞台挨拶もファン心理に配慮して出演者の組み合わせを替えて複数回開催される。

ファンやオタクの体験を高める作り込みがうまいとうならされるが、これほど細やかなのは日本ぐらいではないか。

見方を変えれば、私たちが企業にうまく搾取されているということかもしれないけど(笑)。

――構成・高口康太(ジャーナリスト)

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