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1980年12月8日、ジョン・レノンが「神」になった日【没後40周年特集より】

2020年12月8日(火)17時00分
アラン・メイヤー、スーザン・アグレスト、ジェイコブ・ヤング(本誌米国版編集部)

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悲劇の場所 殺害現場のダコタハウスに集まった大勢の人々 AP/AFLO

チャップマンの友人は、彼がジョン・レノンと自分を同一視していたと語っている。いつもビートルズの曲をギターで弾いていて、ホノルルのアパート管理人の仕事に就くとIDカードにジョン・レノンの名をテープで貼り付け、ジョンに倣って年上の日系女性と結婚した。以前に2度、自殺を試みたこともあるという。

「彼は自分を殺そうとし、それに失敗したためジョンを殺すことにした」と、ハワイの心理鑑定士は推測する。「この殺人は単に自殺が逆転した結果だ」

チャップマンは、ジョンの殺害を何週間も前から計画していたようだ。10月下旬、彼はビル管理の仕事を辞め、ホノルル警察に拳銃所持許可を申請している。彼には犯罪歴がなかったので許可はすんなり下りた。そして10月27日、チャーターアームズ38口径スペシャルを169ドルで購入した。「ごく普通のやつだった」と店の経営者は言う。

同じ頃、チャップマンは過去に何度か高価なリトグラフを購入していた画廊の経営者に電話を入れ、金が必要なので1枚売却したいと画廊に伝えている。また、彼にビル管理の仕事を紹介した就職カウンセラーにも電話して、「ものすごいことを計画している」と語ったらしい。

チャップマンがニューヨークに着いたのは12月6日の土曜日だった。ダコタハウスまで歩いていけるYMCAに宿を取った。1泊16.5ドルの部屋だ。その日の午後、彼を乗せたタクシーの運転手によれば、チャップマンは、自分はジョン・レノンのサウンドエンジニアで、いまレコーディングの最中だと語った。また、ジョンがポールと仲直りし、一緒にアルバムを作ることになったとも話していた。

同じ日、彼はダコタハウスの入り口付近をうろついているところを目撃されている。そのときは誰も気に留めなかった。有名人が多く住む建物だから、ファンが来ることは珍しくない。チャップマンは日曜日にもダコタハウスに現れた。そしてYMCAを出て、シェラトン・センターの1泊82ドルの部屋に移っている。

犯行直後に読書をしていた

月曜日の夜、チャップマンはついにジョンを見掛けた。その日の午後、チャップマンはダコタハウス前の歩道にいた。今度は仲間もいた。ニュージャージー州から来たビートルズ・ファンで、カメラが好きなポール・ゴレッシュだ。ゴレッシュによると、チャップマンは「ここ3日間、ジョンのサインをもらおうと待っている」と話した。午後5時、ジョンが妻と一緒にスタジオへ向かうため建物から出てきた。

チャップマンはおずおずと彼に近づき、サインをもらおうとジョンとヨーコの最新アルバム『ダブル・ファンタジー』を差し出している。ジョンはそれを受け取り、サインをした。その瞬間をゴレッシュは写真に撮った。チャップマンはひどく興奮し、「ハワイじゃ誰も信じてくれないだろうな」と語ったという。

2人はさらに2時間、ダコタハウスの前で待った。ゴレッシュが帰ろうとすると、チャップマンが引き留めた。ジョンはもうすぐ帰ってくるだろうから、今度はゴレッシュがサインをもらえ、と言うのだ。ゴレッシュは、またの機会でいいと答えた。

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