コラム

トランプがバイデンに与えてしまった「必殺技」...最高裁判決で無限の権力を手中に?

2024年08月06日(火)14時22分
ドナルド・トランプ, ジョー・バイデン, 米大統領選, 連邦最高裁

USA TODAY NETWORK-REUTERS

<米連邦最高裁によると、トランプら歴代大統領の「公的行為」は刑事責任に問えない。それってバイデン現大統領は実質やり放題ってこと?と米出身芸人パックンは指摘します>

このコラムを、バイデン米大統領は読んでいる。僕はそれを確信している。証拠は、前回僕がこのコラムで「バイデンは病気を理由に1週間ぐらい休みを取り大統領選から撤退して、その後職務に復帰する」というシナリオを描いたら、現実世界でそのとおりの流れになったこと! 

新型コロナではなく胃痙攣の仮病が僕のおすすめだったけど、まあ細かいことは気にしない。

偶然だと思えない。絶対にチャットGPTで翻訳してこのコラムを読んでいるのだ、バイデンは。


ということで、今回はドナルド・トランプが絶対に大統領に返り咲かないようにする「決め手」をバイデンにお伝えしよう。みなさんも読んでいいけど、これはバイデンさん宛のメッセージだ。

へ?バイデン用ならなぜ英語で書かないの~? という疑問が浮かぶだろうけど、まあ、細かいことは気にしない。

政敵の暗殺もおとがめなし?

実はバイデンは今までの大統領になかった、とんでもない必殺技を手に入れている。それも保守派判事が牛耳る連邦最高裁のおかげだ。7月、最高裁は大統領が「公的な行為」に関して刑事責任を負わないとする判決を出した。

以前から現役大統領は逮捕・訴追されないことになっていたが、この判決でさらに退任してからもずっと免責される新世界が開かれた。バイデン、チャンス!

幸い、大統領の職務の幅はとても広い。一番分かりやすいのは、憲法に定められている軍の最高司令官という立場。特殊部隊に指令を出すことは「公的な行為」に当たるから、政敵の暗殺を命じても司法上のおとがめはないようだ。

つまり、必殺技はまさに必「殺」技になり得る。リベラル派のソニア・ソトマイヨール判事も、先の判決の反対意見書でも実際にこのような危険性を指摘している。

もちろん、僕は暗殺もどんな暴力も一切推薦も擁護もしない。だが判決発表の数日後にトランプが「耳一髪」で暗殺を免れた事件が起きたことで、世の中では暗殺はバイデンが仕組んだとする陰謀論が出回っている。

プロフィール

パックン(パトリック・ハーラン)

1970年11月14日生まれ。コロラド州出身。ハーバード大学を卒業したあと来日。1997年、吉田眞とパックンマックンを結成。日米コンビならではのネタで人気を博し、その後、情報番組「ジャスト」、「英語でしゃべらナイト」(NHK)で一躍有名に。「世界番付」(日本テレビ)、「未来世紀ジパング」(テレビ東京)などにレギュラー出演。教育、情報番組などに出演中。2012年から東京工業大学非常勤講師に就任し「コミュニケーションと国際関係」を教えている。その講義をまとめた『ツカむ!話術』(角川新書)のほか、著書多数。近著に『パックン式 お金の育て方』(朝日新聞出版)。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国軍が台湾周辺で実弾射撃訓練、封鎖想定 過去最大

ビジネス

中国、来年の消費財下取りに89億ドル割り当て スマ

ワールド

カンボジアとの停戦維持、合意違反でタイは兵士解放を

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席とサプライチ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 8
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 9
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story