ニュース速報
ワールド

タイ政府、大麻規制を再導入へ 22年の解禁政策見直し

2025年06月26日(木)11時00分

 タイ政府は大麻を違法薬物のリストから除外した政策の見直しを進めており、近く規制が再導入される見通しだ。写真は、バンコクの大麻販売店。6月25日、バンコクで撮影(2025年 ロイター/Chalinee Thirasupa)

[バンコク 25日 ロイター] - タイ政府は大麻を違法薬物のリストから除外した政策の見直しを進めており、近く規制が再導入される見通しだ。大麻は2022年の解禁以来、関連産業が推定で10億ドル超の規模に達しているが、業界の先行きは不透明だ。

連立政権の第2党で大麻合法化推進を掲げてきた「タイの誇り党」が、カンボジアとの国境問題を巡って最大与党「タイ貢献党」のペートンタン首相の対応を問題視して先週、連立の枠組みから離脱したことで、娯楽目的の大麻使用を新た規制する動きが勢い付いた。

タイ保健省は24日夜、娯楽目的の大麻販売を禁止し、小売店での購入の際に医師の処方箋の提示を義務付ける命令を発布した。新規制は数日以内に官報に掲載され、発効する見通し。

ソムサック保健相は24日、「大麻は将来的に麻薬に分類されることになる」と述べた。

タイは22年にアジア諸国で初めて大麻を解禁した国の1つだが、その際に業界に対する包括的な法整備は見送った。解禁以来、観光地を中心に全国で大麻を販売する店舗が急増。タイ商工会議所は以前、医療製品を含む大麻関連産業の市場規模が2025年までに12億ドルに達するとの試算を公表している。

政府報道官は、大麻の解禁によって特に子供や若者の間で深刻な社会問題が起きていると指摘。「政策を医療目的の大麻利用という本来の目的に戻す必要がある」と述べた。

一方、再規制の動きで大麻業界には衝撃が広がる。バンコクの大麻販売店の店員は「これが私の主な収入源だ。多くの店舗も同じようにショックを受けているだろう。多額の投資をしてきたのだから」と不安を口にした。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エヌビディア、イスラエルAI新興買収へ協議 最大3

ビジネス

ワーナー、パラマウントの最新買収案拒否する公算 来

ワールド

UAE、イエメンから部隊撤収へ 分離派巡りサウジと

ビジネス

養命酒、非公開化巡る米KKRへの優先交渉権失効 筆
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中