ニュース速報
ワールド

頼清徳氏、台湾新総統に就任 中国に威嚇中止を要求

2024年05月20日(月)17時11分

1月の台湾総統選で勝利した民主進歩党(民進党)の頼清徳氏(64)が20日、新総統に就任した。写真は、2023年9月6日に台北市内で演説する頼氏。(2024年 ロイター/Ann Wang)

[20日 ロイター] - 1月の台湾総統選で勝利した民主進歩党(民進党)の頼清徳氏(64)が20日、新総統に就任した。2期8年にわたり総裁を務めた蔡英文氏の後継となる。

頼氏は就任演説で、中国に対し軍事的・政治的威嚇をやめるよう要求。平和が唯一の選択肢であり、中国政府は台湾市民の選択を尊重する必要があると訴えた。

中国側に改めて協議を呼びかけた上で「中国には台湾に対する軍事的・政治的威嚇をやめるよう求めたい。台湾とともに国際的な責任を果たし、台湾海峡・地域の平和と安定の維持に懸命に取り組み、世界に戦争勃発の恐れがないことを確実にすべきだ」と述べた。

また「次の点を世界に宣言したい。台湾は民主主義と自由で譲歩しない。平和が唯一の選択肢であり、繁栄が長期的な平和と安定に向けたわれわれの目標だ」と述べた。

台湾市民に対しては、脅威を現実的に受け止め、自衛の決意を示す必要があると主張。

「市民の皆さん、われわれには平和を追求するという理想があるが、幻想を抱いてはならない」とし、「中国が武力による台湾侵攻を断念する前に、市民は次の点を理解する必要がある。たとえわれわれが中国の要求を全て受け入れ、主権を明け渡しても、台湾を併合するという中国の野望は消えない」と述べた。

台湾と中国は「互いに従属しない」とも改めて表明。聴衆から大きな拍手が沸き起こった。

<中国外務省「台湾独立は袋小路」>

中国外務省は20日、総統就任式について、台湾独立は「袋小路」だとコメント。分裂活動は失敗に終わると述べた。19日付の中国共産党系紙「環球時報」は、頼氏が就任後「ますます挑発的」になる可能性があると主張。長期的に中台関係は「楽観視できない」と指摘していた。

中国は頼氏を「分離主義者」とみており、同氏が総統選で勝利して以来、台湾周辺で空軍・海軍の活動を活発化させている。

台湾国防部は20日の報告で、過去24時間に中国軍機6機が台湾海峡の中間線を越えてきたと明らかにした。そのうち1機は台湾北部の港湾都市、基隆まで43カイリ(80キロ)に近づいたとした。

頼氏の就任式にはバイデン米大統領が派遣した米政府の元高官らや日本、ドイツ、カナダなどの議員が出席。台湾と国交を持つ12カ国の一部首脳も参加した。

ブリンケン米国務長官は頼氏に祝意を表し、米国との「共通の利益や価値を発展させ、米台の長期にわたる非公式な関係を深め、台湾海峡の平和と安定を維持する」ために頼氏と協力して取り組むことを楽しみにしていると表明した。

1月の立法院(国会)選挙で民進党は過半数を維持できなかったため、台湾域内政治においても頼氏は難しい課題を突き付けられることになりそうだ。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

IBM、コンフルエントを110億ドルで買収 AI需

ワールド

EU9カ国、「欧州製品の優先採用」に慎重姿勢 加盟

ビジネス

米ネクステラ、グーグルやメタと提携強化 電力需要増

ワールド

英仏独首脳、ゼレンスキー氏と会談 「重要局面」での
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中