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ロシア、黒海穀物合意延長「根拠ない」 農業銀のSWIFT接続要請

2023年07月05日(水)03時58分

ロシア外務省は4日、国連などが仲介している黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)について、延長する根拠がないとの見解を示し、7月17日の期限切れ前に対象となる全ての船舶が黒海の海域から出られるようあらゆる手段を尽くしていると表明した。写真は2022年10月31日、穀物輸出合意の下で黒海を航行する穀物運搬船(2023年 ロイター/FILE PHOTO: Umit Bektas)

[4日 ロイター] - ロシア外務省は4日、国連などが仲介している黒海経由の穀物輸出合意(黒海イニシアティブ)について、延長する根拠がないとの見解を示し、7月17日の期限切れ前に対象となる全ての船舶が黒海の海域から出られるようあらゆる手段を尽くしていると表明した。

同時に、国営のロシア農業銀行を国際送金・決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)に再接続するよう改めて要請。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が3日、ロシア農業銀行が子会社を創設して国際金融ネットワークに再接続することを認める案について欧州連合(EU)が検討していると報じたが、このような妥協案は受け入れられないとの立場を示した。

ロシアは5月半ばに同イニシアティブの延長に合意したが、延長期間は2カ月にとどまり、その後も繰り返し延長の根拠はないとの立場を示していた。

外務省は声明で、黒海イニシアティブを通して食料が十分にある国にウクライナ産穀物が供給されたが、アフリカ、アジア、中南米の食料を最も必要としている国々には届いていないと指摘。最も貧しい5カ国(エチオピア、イエメン、アフガニスタン、スーダン、ソマリア)には協定の下で輸出された穀物の2.6%しか供給されていないとしたほか、ロシア産の穀物と肥料の輸出は悪化の一途をたどっているとの認識も示した。

その上で、こうした状況下で「7月17日の期限切れ後も延長する根拠がないのは明らかだ」とした。

これとは別に外務省のマリア・ザハロワ報道官は、FTの報道について、新組織を立ち上げるには何カ月もかかるうえ、SWIFT接続にさらに3カ月かかるとして、こうした案は「意図的に実行不可能」との見方を示した。

ザハロワ氏は、ロシア農業銀行とJPモルガンとの間に代替決済チャネル設置する国連の案も否定。「SWIFTに代わるものは存在しない」と述べた。

ロシアは、ロシア農業銀行がSWIFTから締め出されたことがロシア産の食料と肥料の輸出の障害になっているとしており、この問題が解決されない限り黒海イニシアティブは延長できないとの立場を示している。

国連によると黒海イニシアティブの下で黒海に面するウクライナの3つの港からこれまでに45カ国に3200万トンを超える食料が輸出されており、同合意が延長されなかった場合の影響は大きいとみられている。

英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、国連も英国もできる限りのことを行うが、黒海イニシアティブの延長について確信が持てないと述べた。

国連はロシアの肥料輸出を促進する方法について引き続き取り組んでいるとした。

ロイター
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