ニュース速報

ワールド

米国務長官、台湾安定の重要性強調 中国外相「危険なシグナル」

2022年09月24日(土)17時02分

ブリンケン米国務長官は23日、中国の王毅国務委員兼外相と会談し、台湾の平和と安定の維持が極めて重要になるとの考えを伝えた。写真は同日、ニューヨークで開かれた日米豪印で構成する協力枠組み「クアッド」関連の会合に出席するブリンケン長官(2022年 ロイター/David 'Dee' Delgado)

[ニューヨーク 23日 ロイター] - ブリンケン米国務長官は23日、中国の王毅国務委員兼外相と会談し、台湾の平和と安定の維持が極めて重要になるとの考えを伝えた。王氏は米国が台湾について「非常に間違った、危険なシグナル」を送っていると批判した。

台湾情勢を巡り米中の緊張が高まる中、両氏は国連総会が開かれているニューヨークで会談。米国務省当局者は会談後に記者団に対し「ブリンケン長官は米国の長年の政策に基づき、(台湾)海峡の平和と安定の維持は絶対的に極めて重要との考えを伝えたと述べた。

米政府高官によると、90分間に及ぶ「直接的で率直な」会談行われ、焦点は台湾問題だった。

米国の「一つの中国」政策は変わっておらず、これに沿ってブリンケン氏は「(台湾)海峡の平和と安定が絶対的に、極めて重要であることを明確にした」という。

中国外務省は声明を発表し、米国は台湾に関して「非常に間違った、危険なシグナル」を送っていると批判し、台湾の独立運動が広がるにつれて平和的解決の可能性は低くなると主張した。

声明によると、王氏は「台湾問題は中国の内政問題であり、解決手段に米国が口を挟む権利はない」と述べた。

これに先立ち、国務省は両氏が米中間のオープンな対話を維持する必要性について協議したと表明。ブリンケン氏は、中国がロシアのウクライナ侵攻に物質的支援を提供したり、大規模な制裁逃れに関与したりした場合の影響も強調。「米中および国際社会は、ウクライナ侵攻の影響に対処し、ロシアがさらなる挑発行為に及ばないよう抑止する義務があることを強調した」という。また、米中の利害が一致する部分で協力していくことに引き続きオープンであると伝えたとした。

これとは別に、日本・米国・オーストラリア・インド4カ国の連携枠組み「クアッド」の外相会合も開催された。会合後にはインド太平洋を巡り「現状を変更しようとする、あるいは地域の緊張を高めようとするいかなる一方的行動にも強く反対する」との声明を発表した。

オバマ元大統領政権下で東アジア・太平洋担当国務次官補を務めたダニエル・ラッセル氏は、ペロシ米下院議長の訪台がもたらした混乱の後でブリンケン氏と王氏が会談したのは重要だと指摘した。

11月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせてバイデン米大統領と習近平中国国家主席による初の対面会談が実現するよう、両国の取り組みに進展が期待されると話した。

ただ両国の外相が会談したからといって首脳会談が行われるかや、仮に行われてもスムーズにいく保証はないとも述べた。

王氏は今週、米国の対中政策の構築に関わったキッシンジャー元米国務長官とも会談。ただ王氏は「一寸の領土を失うより、千人の兵士を失う方がまし」という中国のことわざを引き合いに出した上で、台湾の独立感情が「暴走」しているため、平和的解決の可能性は低下しているとの見方を示した。

また22日にニューヨークのアジアソサエティーで行った講演では、台湾問題が中米関係における最大のリスクになりつつあるとの見解を示した。

中国大使館が公表した原稿によると、王氏は「この問題の処理を誤れば、2国間関係が完全に破壊される可能性が非常に高い」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ウクライナ向けトマホーク承認も ロが戦

ワールド

トランプ氏「ガザ戦争は終結」、人質解放待つイスラエ

ビジネス

主要行の決算に注目、政府閉鎖でデータ不足の中=今週

ワールド

中国、レアアース規制報復巡り米を「偽善的」と非難 
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリカを「一人負け」の道に導く...中国は大笑い
  • 4
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 8
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 9
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 10
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中