ニュース速報

ワールド

エチオピア北部ティグレ州、推計35万人が飢餓状態=国連文書

2021年06月10日(木)17時27分

 国連などが行った食料事情に関する調査によると、エチオピア北部にある紛争地帯ティグレ州では、推計35万人が飢餓状態にある。ロイターが国連の内部文書を確認した。写真は紛争で家を失った人々の一時的な避難所となったティグレ州シャイアのアクスム大学キャンパス。3月撮影(2021年 ロイター/Baz Ratner)

[アディスアベバ(エチオピア)/ニューヨーク 9日 ロイター] - 国連などが行った食料事情に関する調査によると、エチオピア北部にある紛争地帯ティグレ州では、推計35万人が飢餓状態にある。ロイターが国連の内部文書を確認した。

一方、エチオピア政府はこの調査結果に異議を唱えているという。

国連機関や支援団体などは、各地域の食糧事情を判断するために総合的食料安全保障レベル分類(Integrated Food Security Phase Classification、IPC)分析を活用する。過去10年間、IPC分析に基づきソマリアが2011年、南スーダンが2017年、それぞれ飢餓が宣言されている。

国連の内部文書によると、IPCはティグレ州で推計35万人が飢餓状態にあると分析。飢餓状態が深刻化しないためには、数百万人に緊急の食料や生活の支援が必要だと指摘している。

ニューヨークのエチオピア外交官は匿名を条件に、同国政府がIPCの分析に異議を唱えていることを確認した。政府はIPCの調査方法を疑問視しており、IPCが透明性を欠き、関係当局と十分な協議を行っていないと批判しているという。

ティグレ州では昨年11月、政府軍と当時のティグレ州政府を率いていたティグレ人民解放戦線(TPLF)との間で戦闘が勃発。隣国エリトリアの軍もエチオピア政府を支援して戦闘に参加した。これにより数千人が死亡し、500万人以上が住む山岳地帯では数十万人が住居を追われた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三菱商事、今期26%減益見込む LNGの価格下落な

ワールド

インド4月自動車販売、大手4社まだら模様 景気減速

ワールド

米、中国・香港からの小口輸入品免税撤廃 混乱懸念も

ワールド

アングル:米とウクライナの資源協定、収益化は10年
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 5
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 6
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 9
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中