ニュース速報

ワールド

NZ、コロナ禍にうまく対応 金融脆弱性は残存=中銀金融安定報告

2021年05月05日(水)11時31分

 5月5日、ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は金融安定報告で、同国は新型コロナウイルス感染拡大に当初の予想よりうまく対応したとしながらも、金融システムの脆弱性はなお残っているとの認識を示した。2017年7月撮影(2021年 ロイター/David Gray)

[ウェリントン 5日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)準備銀行(中央銀行)は5日に公表した金融安定報告で、同国は新型コロナウイルス感染拡大に当初の予想よりうまく対応したとしながらも、金融システムの脆弱性はなお残っているとの認識を示した。過熱する住宅市場への対応で追加の対策が必要になる可能性にも言及した。

同中銀のオア総裁は報告の中で「公衆衛生対策の成功と実質的な金融・財政政策支援により、多くの企業の倒産と失業の増加を防ぐことができた」と指摘。

その上で、入国制限やサプライチェーンの混乱、社会的距離を確保する規則などの影響を受けた部門では活動が低下しており、一部の企業は依然として脆弱だとの認識を示した。

また、低金利を背景にリスクを取る動きが拡大し、資産価格が上昇していると指摘。こうした状況は住宅価格の上昇に最も顕著に現れているとした。

NZ中銀は今年に入り、投資家向け住宅ローンの融資基準を厳格化。政府も住宅価格の高騰抑制に向け、投資家を対象とした税制措置など一連の措置を打ち出している。

中銀は、新規融資では返済比率やローン資産価値比率(LVR)が高い案件の割合が大きいとし、住宅ローン金利の上昇に対する借り手の脆弱性が高まっていると指摘。家計や金融システムが住宅価格の下落に直面する可能性があるとした。

中銀のバスカンド副総裁は、住宅価格上昇に対応するために政府が最近打ち出した政策変更に市場がどのように反応するか注視しているとし、「必要であれば、LVR規制や現在精査中の他のツールを用いて融資基準を一段と厳格化する用意がある」と表明した。

ASB銀行のチーフエコノミスト、ニック・タフリー氏は今回の金融安定報告について、政策や住宅市場への影響はないと指摘。「住宅市場は年内に抑制される見込みで、短期的には追加のマクロプルーデンス措置の必要性は限定的となるだろう」と語った。

NZ中銀は銀行の新たな資本規制が10月1日から導入され始めるとし、最低所要自己資本比率の引き上げ開始は2022年7月になるとした。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ナスダック連日最高値、アルファベット

ビジネス

NY外為市場=ドル全面安、FOMC控え

ワールド

米軍、ベネズエラからの麻薬密売船攻撃 3人殺害=ト

ワールド

米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行動なけ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中