ニュース速報

ワールド

米、対EU報復関税を維持 航空機補助金巡る紛争で

2020年08月13日(木)09時32分

8月12日、米政府は、航空機補助金を巡る欧州連合(EU)との紛争で発動したエアバス製航空機に対する15%の関税と他の欧州連合(EU)製品に対する25%の関税を維持すると発表した。写真はエアバスのロゴ。仏トゥールーズ近郊のエアバス工場で7月撮影(2020年 ロイター/Benoit Tessier)

[ワシントン 12日 ロイター] - 米政府は12日、航空機補助金を巡る欧州連合(EU)との紛争で発動したエアバス製航空機に対する15%の関税と他の欧州連合(EU)製品に対する25%の関税を維持すると発表した。

EU側は16年にわたる紛争の解決に向けて対応していたものの、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は、世界貿易機関(WTO)の決定を順守するために必要な措置をEUは講じていないと指摘。長期的な解決策を目指し、米政府として新たな手続きに着手すると表明した。

USTRは、報復関税の対象となっている75億ドル相当の欧州製品のリストを見直し、ギリシャと英国からの一部輸入品を対象から外す一方、ドイツとフランスからの同額の輸入品を追加する方針を示した。

エアバスは、米国が航空機関税の維持を決めたことは「極めて遺憾だ」と表明した。

同社は7月、米国に関税撤回を促し、航空機補助金を巡る長年の紛争を解決するための「最後」の取り組みとして、フランスとスペインから借り入れた開発資金に対する支払金利の引き上げに合意したと発表していた。

米欧の航空機紛争では、EU側も米国によるボーイングへの補助金を不当と主張。WTOは今秋にもEUに対し、米製品への報復関税を承認する見通しで、業界団体は対立激化を予想している。

エアバスは「欧州が自らの権利と、エアバスも含め関税の標的となっている全ての欧州企業・業界の権利を守るため、適切に対応すると確信している」と表明した。

一方、ボーイングは「EUとエアバスが全ての違反に対処し、この問題を終わらせるため、速やかに米国と意味のある協議を行うことを期待する」とした。

USTRは2019年10月、EUによる大型航空機への補助金に対する報復関税として、食品やワイン、蒸留酒などのEU製品に25%の関税を発動した。エアバス機には当初10%の関税を発動したが、今年3月に15%に引き上げた。

食品や酒類などに対する25%の関税を巡っては、超党派の米議員が撤廃を求めていたが、USTRは維持を決めた。ただ、検討していたウオッカやビール、ジンなどへの関税は見送った。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米マイクロソフト、英国への大規模投資発表 AIなど

ワールド

オラクルやシルバーレイク含む企業連合、TikTok

ビジネス

NY外為市場=ドル、対ユーロで4年ぶり安値 FOM

ワールド

イスラエル、ガザ市に地上侵攻 国防相「ガザは燃えて
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    出来栄えの軍配は? 確執噂のベッカム父子、SNSでの…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中