ニュース速報

ワールド

G20財務相会議、米が日欧に対中強硬姿勢の共同歩調要請か

2018年07月20日(金)09時15分

 7月19日、G20は21─22日にブエノスアイレスで財務相・中央銀行総裁会議を開催するが、米財務省のある高官の話では、米国は日本とEUに対して、中国の「不公正な」貿易慣行に共同してより強硬な姿勢を取るよう求める見通しだ。写真はムニューシン米財務長官。加ブリティッシュコロンビア州で6月撮影(2018年 ロイター/Ben Nelms)

[ワシントン/ブエノスアイレス 19日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)は21─22日にブエノスアイレスで財務相・中央銀行総裁会議を開催する。米中両国が互いに340億ドル相当の輸入品に制裁関税を発動してから初めての顔合わせとなる。

米財務省のある高官の話では、米国は日本と欧州連合(EU)に対して、中国の「不公正な」貿易慣行に共同してより強硬な姿勢を取るよう求める見通しだ。

ただ先進国間には、米国が鉄鋼・アルミニウムの輸入制限をEUとカナダにも適用したことを巡って不満が広がっており、対中国で足並みをそろえるのは難しい面もある。

コーネル大学教授(国際貿易論)で元国際通貨基金(IMF)中国担当責任者のエスワル・プラサド氏は「米国の貿易相手国は協調的なムードになりそうにはない。(米国の)長年関係を築いてきた貿易相手と同盟国への敵対的な行動は、自らの経済的・地政学的な影響力を弱めてしまっている」と指摘した。

3月に開かれた前回のG20財務相・中央銀行総裁会議は、保護主義を拒絶し「さらなる対話」を促す共同声明を発表したものの、ほとんど役に立っていない。

その後米国と中国がそれぞれ340億ドル規模の制裁関税を実施し、トランプ米大統領は、中国が知的財産に関する慣行やハイテク産業への補助金計画を改めない限り、さらに2000億ドルの中国製品を関税の標的にすると示唆している。

こうした中でドイツ政府のある高官によると、EUは今回のG20会議で貿易制限が「全ての人に打撃を与える」と強く訴え掛ける方針だ。一方日本政府の高官の1人は、貿易摩擦の激化が外国為替市場のボラティリティーを高め、安全通貨とされる円が買われて日本の輸出を脅かすのではないかとの懸念が、政府内で広がっていると明らかにした。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

「米国は世界から手を引かない」、ルビオ国務長官が上

ワールド

マスク氏、政治献金削減へ テスラCEO「あと5年継

ワールド

トランプ氏、ゴールデン・ドームの詳細発表 費用は約

ビジネス

米国株式市場=反落、ダウ114ドル安 米国債利回り
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到した理由とは?
  • 3
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国は?
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 6
    【裏切りの結婚式前夜】ハワイにひとりで飛んだ花嫁.…
  • 7
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 8
    小売最大手ウォルマートの「関税値上げ」表明にトラ…
  • 9
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 5
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 6
    「運動音痴の夫」を笑う面白動画のはずが...映像内に…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 9
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 10
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 10
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中