ニュース速報

ワールド

「日本版海兵隊」が始動、自衛隊初の上陸作戦部隊

2018年04月08日(日)18時51分

4月7日、自衛隊初の上陸作戦能力を持つ水陸機動団が、配備先の相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で本格始動した。写真は同駐屯地で行われた編成式後に記者会見する青木伸一団長(2018年 ロイター/Issei Kato)

[佐世保市(長崎県) 7日 ロイター] - 自衛隊初の上陸作戦能力を持つ水陸機動団が7日、配備先の相浦駐屯地(長崎県佐世保市)で本格始動した。中国の海洋進出をにらんだ南西諸島の防衛力強化の一環で、日本は同機動団をその中核に据える。いずれ3000人規模まで増員するが、本格的な力を発揮するまでには課題も多い。

「日本版海兵隊」と称される陸上自衛隊の水陸機動団は3月27日に2個連隊、約2100人で発足した。4月7日の編成式に出席した山本朋広防衛副大臣は、顔を迷彩色に塗った約1500人の隊員を前に訓示。中国を念頭に「自国の権利を一方的に主張し、行動する事例が多く見られる」とした上で、水陸機動団の創設で「島しょを守り抜くという、わが国の断固たる意志と能力を国際社会に示す」と語った。

イラク派遣部隊の日報問題の対応に追われる小野寺五典防衛相は出席を取りやめた。

中国が東シナ海の上空や海上、水中で活動を強める中、日本は南西諸島の防衛力強化を進めてきた。水陸両用車AAVや新型輸送機オスプレイなど、上陸部隊を運ぶ手段を米国から調達。沖縄県与那国島などに陸自の基地を新設したり、那覇基地の戦闘機部隊を拡充、中国艦の動きを警戒する潜水艦の数を増やしている。

日本がその要に位置づけるのが、新たに発足した水陸機動団。離島が占拠されそうな兆候を察知したらオスプレイで急行して未然に防いだり、実際に占拠されたらヘリコプターからの空挺降下や水陸両用車で上陸する。2018年度末までに2400人、いずれは3個連隊、3000人まで増やす。うち1個連隊は沖縄本島に配備することを検討している。

「南西諸島防衛というパズルを埋める有効な一片になる」と、元米海兵隊大佐で、現在は日本戦略研究フォーラム上席研究員のグラント・ニューシャム氏は言う。「日本の戦略に選択肢が増え、対峙する側にとっては複雑さが増す」と、同氏は語る。

7日の編成式では、離島に見立てた芝生の運動場で水陸機動団による奪還作戦を披露。約220人の機動団員に約20人の米海兵隊が加わり、AAV10両やヘリコプター4機を使って上陸、空砲を撃ちながら前進して敵部隊を制圧した。

しかし、災害から有事まで、あらゆる事態にいち早く駆けつける米海兵隊のような能力を持つまでには、まだ時間もカネもかかる。水陸機動団を輸送する海上自衛隊、空からの火力で上陸を援護する航空自衛隊との連携が欠かせない。専守防衛を掲げる日本は第2次大戦後、敵地への攻撃的な戦力としても使える上陸作戦能力を整備してこなかった。

「南西諸島を守るには水陸機動団だけでは十分ではない。適切な海軍力と空軍力、何よりそれらを一体的に動かす必要がある」と、機動団の立ち上げ支援のため日本に派遣されていたニューシャム元大佐は言う。

具体的には、水陸両用車などを沖合いから発進させつつ戦闘機の発着拠点にもなる広い甲板を有した強襲揚陸艦や、そこに垂直着陸できるF35Bのような戦闘機が必要になると、同氏は指摘する。

初代団長に就任した青木伸一陸将補は、編成式後に記者会見で、「まだ能力は完全なものではない。今後の訓練のなかで、陸海空がしっかり連携しながら、実効性の向上に努めたい」と語った。

*変換ミスを修正して再送します。

(久保信博、ティム・ケリー※)

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

トランプ大統領、来週にも次期FRB議長指名決定とベ

ワールド

タイ中銀、外貨収入の本国送金規制を緩和 バーツ高対

ワールド

国連人権理事会、イラン情勢で23日緊急会合 「憂慮

ワールド

欧州委員長、独立した欧州構築の必要性強調 地政学的
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「耳の中に何かいる...」海で男性の耳に「まさかの生物」が侵入、恐怖映像と「意外な対処法」がSNSで話題に
  • 2
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 3
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の船が明かす、古代の人々の「超技術」
  • 4
    「死ぬところだった...」旅行先で現地の子供に「超危…
  • 5
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 6
    中国、欧米の一流メディアになりすまして大規模な影…
  • 7
    【総選挙予測:自民は圧勝せず】立憲・公明連合は投…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 10
    トランプが「NATOのアメリカ離れ」を加速させている…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    世界最大の埋蔵量でも「儲からない」? 米石油大手が…
  • 10
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中