ニュース速報
ビジネス

FRB当局者、政策変更急がずと表明 トランプ関税の影響見極めへ

2025年03月22日(土)06時34分

トランプ米政権の通商政策などに起因する不確実性が高まる中、米連邦準備理事会(FRB)当局者から21日、金融政策を変更する緊急性はなく、状況が明確になるまで様子見姿勢を取るべきとの発言が相次いだ。(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Michael S. Derby

[21日 ロイター] - トランプ米政権の通商政策などに起因する不確実性が高まる中、米連邦準備理事会(FRB)当局者から21日、金融政策を変更する緊急性はなく、状況が明確になるまで様子見姿勢を取るべきとの発言が相次いだ。

<「緩やかに引き締め的」な政策は適切>

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は講演で、労働市場が堅調に推移する中、インフレ率がFRBが目標とする2%をなお若干上回っていることを踏まえると、現在の「緩やかに引き締め的」な金融政策は完全に適切との考えを示した。

FRBは最終的には景気を刺激も冷やしもしない金利水準である「中立金利」まで引き下げなくてはならないとしながらも、政府の政策が急速かつ予測不能に変化している環境下で、「経済成長に対する下向きリスクと、インフレに対する上向きリスクは共に極めて高い」と指摘。今後の展開に対処していくにあたり「金融政策は適切な位置にある」と述べた。

その上で、一段のデータを検証したいとし「金融政策設定の変更を急ぐ必要はない」と語った。

シカゴ地区連銀のグールスビー総裁も同様の見解を表明。米経済は強いとしながらも、トランプ大統領の関税政策の行方を見守っているとし、不確実性が高まる中、状況が明確になるまでFRBは様子見姿勢を取る必要があると述べた。

FRBは18─19日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、予想通りに金利据え置きを決定。パウエルFRB議長は政策変更を「急いでいない」とし、トランプ政権が打ち出す一連の政策がさらに明確となるまで待つ姿勢を鮮明にした。

<量的引き締め(QT)の減速>

FRBは今回のFOMCで、バランスシートの縮小ペースを減速させると決定。FOMC声明によると、ウォラーFRB理事がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジの据え置きには賛成したものの、保有証券の減少ペースは現在のまま継続することが望ましいとして、反対票を投じた。

ウォラー氏はこの日、減速に反対したことについて、銀行システム内に豊富な準備金がなお存在していることが理由だったと説明。「FRBのバランスシート縮小は、金融政策の正常化のほか、銀行システム内にある不要な準備金の削減に重要な役割を果たしている」と指摘。バランスシート縮小の減速はいずれは適切になるとしながらも、まだその時点に「到達していない」と述べた。

これに対しウィリアムズ総裁は、縮小ペース減速の決定は「次のステップとして自然なものだった」との見解を示した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

UBS、第3四半期純利益は予想上回る74%増 ディ

ビジネス

アングル:NT倍率が最高水準に接近、日経平均の「A

ビジネス

NEC、通期業績予想を上方修正 国内IT好調で

ビジネス

米財務長官の発信にコメント控える、日銀会合も踏まえ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」にSNS震撼、誰もが恐れる「その正体」とは?
  • 2
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理に押し上げた「2つの要因」、流れを変えたカーク「参政党演説」
  • 3
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大ショック...ネットでは「ラッキーでは?」の声
  • 4
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 5
    「ランナーズハイ」から覚めたイスラエルが直面する…
  • 6
    楽器演奏が「脳の健康」を保つ...高齢期の記憶力維持…
  • 7
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦…
  • 8
    リチウムイオンバッテリー火災で国家クラウドが炎上─…
  • 9
    「何これ?...」家の天井から生えてきた「奇妙な塊」…
  • 10
    怒れるトランプが息の根を止めようとしている、プー…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    庭掃除の直後の「信じられない光景」に、家主は大シ…
  • 10
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 1
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中