ニュース速報
ビジネス

超長期中心に円債投資も残高は減、金利上昇局面で積み増し=かんぽ・24年度運用計画

2024年04月22日(月)19時00分

 4月22日、 日本郵政グループのかんぽ生命保険は2024年度の一般勘定資産の運用計画で、円金利資産は超長期国債を中心に投資を行うが、総資産の縮小により残高は減少するとの見通しを示した。写真は日本郵政グループの看板。都内で2020年2月撮影(2024年 時事通信)

Tomo Uetake

[東京 22日 ロイター] - 日本郵政グループのかんぽ生命保険は2024年度の一般勘定資産の運用計画で、円金利資産は超長期国債を中心に投資を行うが、総資産の縮小により残高は減少するとの見通しを示した。機械的な購入ペースとはせず、金利上昇局面で積み増す考え。

22日に開催した資産運用方針説明会で、野村裕之・執行役員兼運用企画部長が明らかにした。

総資産の7割を占める国内債券は、保有債券の償還が1兆3000億円程度あるため投資額が償還分に届かず残高としては減少するが、20年・30年といった超長期国債を中心に「しっかりとチャンスがあれば買っていきたい」という。

30年金利は22日時点で1.925%だが、かんぽ生命では今年度の見通しレンジを1.90─2.30%としており、野村氏は「今の金利水準で買えないというわけではないが、今よりも上がると思っているので、そこで動けるようにしたい」と述べ、機械的な購入ペースではなく、金利水準を見ながら積み増す考えを示した。

日銀の金融政策については、9月か10月に政策金利を0.25%に引き上げ、そこから半年ほど時間を置いて0.5%へもう一度利上げすると想定する。「(次の利上げは)早ければ7月にあってもおかしくないが、連続的な利上げではなく、慎重に時間ゆっくり時間をかける」との見方だ。

外貨建て債券については、為替ヘッジ付きはヘッジコスト控除後の利回りの低下を背景に残高が減少から横ばい、為替リスクをヘッジしないオープン外債は償還が多いため残高は減少する見通し。

リスク性資産の株式は国内外ともに「慎重なリスクテイク」を基本姿勢とし、国内株式の残高は微増、外国株式は横ばいを見込む。

オルタナティブ資産は、前年度に続き残高を増やす。プライベートエクイティはある程度先行的に残高が積み上がったため、今年度はインフラエクイティや不動産ファンドに注力する方針。

野村氏は「株式やオルタナなど円金利以外の資産は『収益追求資産』と位置付けており、含み益を作っていくことが大切。高値づかみしないように、例えばコロナショックで大幅安となった時のような調整局面で買いたいと考えている」と話した。

かんぽ生命の一般勘定の総資産残高は、昨年9月末時点で61兆5859億円。うち外貨建て資産は4兆2096億円(6.8%)。

2024年度の相場見通し(レンジと年度末)は以下の通り。

日本国債10年物利回り   0.90―1.40%(年度末1.00%)

米国債10年物利回り    3.70―4.80%(同3.90%)

日経平均株価        3万9000―4万5000円(同4万2000円)

NYダウ          3万5000─4万2000ドル(同3万9000ドル)

ドル/円          135―155円 (同140円)

ユーロ/円         145―165円 (同150円)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3

ビジネス

米雇用なお堅調、景気過熱していないとの確信増す可能

ビジネス

債券・株式に資金流入、暗号資産は6億ドル流出=Bo

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率約78%に上昇 雇用者数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前の適切な習慣」とは?

  • 4

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 5

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 6

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    映画『オッペンハイマー』考察:核をもたらしたのち…

  • 9

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中