ニュース速報
ビジネス

FRB当局者、利上げサイクル終了を示唆 物価上昇鈍化受け

2023年12月01日(金)03時51分

米経済指標でインフレ鈍化が示される中、連邦準備理事会(FRB)当局者らは30日、FRBの利上げサイクルが終了した可能性があると示唆した。2015年9月撮影(2023年 ロイター/Kevin Lamarque/File Photo)

Ann Saphir Michael S. Derby

[30日 ロイター] - 米経済指標でインフレ鈍化が示される中、連邦準備理事会(FRB)当局者らは30日、FRBの利上げサイクルが終了した可能性があると示唆した。同時に、物価を巡る進展が停滞すれば追加利上げの可能性を否定せず、市場で出ている早期利下げ着手の観測を退けた。

商務省発表の10月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比3.0%上昇し、伸びは前月の3.4%から鈍化し、2021年3月以来の低水準となった。

また、労働省日発表の11月25日までの1週間の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は7000件増の21万8000件。市場予想は22万6000件だった。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は講演で、FRBが過去20カ月に行った合計5.25%ポイントの利上げを受け、金融、信用状況が引き締まり、インフレの一段の低下に貢献すると指摘。供給網の改善も物価上昇圧力の緩和につながっていると述べた。

その上で「先行きは依然として極めて不透明であり、われわれの決定は引き続きデータに依存する」と指摘。経済のリスクは現在、高すぎるインフレと景気低迷の両面があり、「これらのリスクのバランスを考慮し、現在私が知っていることに基づくと、フェデラル・ファンド(FF)金利の目標レンジのピークか、それに近い水準にあるというのが私の評価だ」とした。

金融政策に関しては四半世紀で最も制約的なスタンスにあるとし、「かなりの期間にわたり」制約的な政策を維持する必要がある公算が大きいと言及。今後発表されるデータを引き続き注視するとしながらも、「物価上昇圧力や不均衡が私の予想以上に続くようであれば、追加的な政策引き締めが必要になるかもしれない」と述べた。

サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁は独紙ベルゼン・ツァイトゥングが30日に掲載したインタビューで、自身のベースシナリオには一段の利上げは含まれていないと言及。

FRBが利上げに終止符を打つかどうか「知るにはまだ時期尚早だ」とし、「今は時間をかけ、警戒を怠らず、慎重に行動すべきだ。経済で何が起きているのか、インフレがどのように進行しているのかをよく理解する必要がある。その上で必要であれば再び利上げを行うか、あるいは適切であれば引き締めサイクルは終了したと言えるように準備する必要がある」と語った。

同時に「現時点で利下げについて全く考えていない」と言及。「物価安定の回復に十分な引き締めを行い、十分に制約的であるかどうかを考えている」と述べた。

次回米連邦公開市場委員会(FOMC)は12月12─13日。政策当局者が金融政策に関する発言を控える「ブラックアウト期間」入りを前に、12月1日にパウエルFRB議長が発言を行う。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中