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IMF、ウクライナ危機で世界経済見通し引き下げへ=専務理事
4月14日、 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、カーネギー国際平和財団における講演で、今年と来年の世界経済の成長率見通しを引き下げると明らかにした。ワシントンのIMF本部で2016年10月撮影(2022年 ロイター/Yuri Gripas)
[ワシントン 14日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は14日、カーネギー国際平和財団における講演で、今年と来年の世界経済の成長率見通しを引き下げると明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻に伴って、食料とエネルギーの価格が跳ね上がり、既に足場が弱かった経済にさらなる重圧が加わったためだ。IMFは来週、最新の見通しを公表する。
ゲオルギエワ氏は、具体的な数値は示さなかった。ただ以前から、4月公表分は1月時点の4.4%から下振れすることになると発言していた。
同氏は「1月以降、見通しは著しく悪化した。主たる理由は(ウクライナの)戦争とその影響にある。インフレ、金融引き締め、中国における頻繁かつ広範囲のロックダウン(都市封鎖)が世界のサプライチェーン(供給網)に新たな制約をもたらし、経済活動も圧迫している」と指摘。その上で「われわれが今直面している事態の原因は戦争で、この戦争は止めなければならない。マクロ経済の観点では成長が鈍化し、物価は上がっている。各個人の立場からすると、所得が減って生活の厳しさが増した」と述べた。
一方、ロシアのウクライナ侵攻と西側の対ロシア制裁を受け、ゲオルギエワ氏は世界経済が地政学的な幾つものブロックに分裂するという、新たな脅威が生じていると警告した。これらのブロックはそれぞれ貿易や技術分野の標準、決済システム、主要準備通貨が異なるという特徴を持つ。
世界経済は第2次世界大戦後、米国が主導し、IMFや世界銀行をはじめとする国際機関が関与する形で一体的な秩序を形成してきた。同氏は、それが分裂するという劇的な変化が起きれば調整のコストは痛みを伴うことになり、「サプライチェーンや研究開発、生産ネットワークが崩壊するので再建を迫られる」と強調。結局貧しい国や貧しい人々にしわ寄せがいってしまうとの見方を示した。
また同氏は、ウクライナやロシア、ベラルーシからの穀物と肥料の輸出が途絶している影響で、世界中の食料安全保障が揺らいでいると説明し、食料供給拡大に向けた国際協調行動の必要性を改めて訴えた。