ニュース速報

ビジネス

新型コロナ、新たな金融危機触発の恐れ=ECB金融安定報告

2020年05月27日(水)00時09分

欧州中央銀行(ECB)は26日に公表した半期に1度の金融安定報告で、新型コロナウイルス感染拡大で金融の脆弱性が高まったとし、債務水準の急上昇で銀行が苦境に陥る中、将来的に一段の危機に見舞われる恐れがあると警告した。2012年1月撮影(2019年 ロイター/Mal Langsdon)

[フランクフルト 26日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は26日に公表した半期に1度の金融安定報告で、新型コロナウイルス感染拡大で金融の脆弱性が高まったとし、債務水準の急上昇で銀行が苦境に陥る中、将来的に一段の危機に見舞われる恐れがあると警告した。

ECBは、今年のユーロ圏経済が約10%のマイナス成長に陥ると予想され、各国政府は経済への影響緩和に向け多くの対策を導入してきたとしながらも、長期的な代償は存在しており、一部の国は債務返済に苦しみ、ユーロ圏離脱リスクが高まるとの見方を示した。

その上で、債務水準が高い国はこうした状況に耐えられない恐れがあり、一方で銀行収益の著しい低下と不動産市場の調整リスクの増大なども不安定要因の一部として挙げられるとし、「多くの国で新型ウイルス感染拡大は収束しつつあるものの、経済、および市場が受けた影響で、ユーロ圏の金融安定の既存の脆弱性が明るみに出ると同時に助長された」と指摘した。

ユーロ圏全体の域内総生産(GDP)に対する債務比率は今年、ユーロ圏債務危機時を大幅に上回り、100%を超える恐れがある。同比率はイタリアで160%近辺に達する可能性があり、市場ではすでに同国のユーロ圏離脱の公算が意識され始めている。

ECBは「各国政府、および欧州全体で実施される措置が債務の持続可能性を維持するに十分でなかった場合、市場が認識するリデノミネーションリスクが一段と上昇する恐れがある」とした。

一部ユーロ加盟国では脆弱性が高まっているが、こうした国の国債利回りの上昇は民間部門に波及し、すでに多額の損失に直面している銀行が一段の打撃を受ける恐れがある。真っ先に顕在化するリスクは企業の信用格付けの引き下げで、これにより実体経済の資金調達能力が制限される恐れがある。

ECBは、投資不適格級への格下げは避けられず、年金基金や保険会社などは売却に動かざるを得なくなると予想。高利回り社債の市場は規模が比較的小さいため、売りは国債に向かう恐れがあるとした。

ECBは現時点では投資適格債のみを資産購入の対象としているが、投資不適格債も対象に含めることの是非を検証している。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ監視の長期化を示唆 NYタイ

ビジネス

英企業、向こう1年の賃金上昇予想3.7% 若干緩和

ビジネス

金、今年前半に5000ドル到達も 変動大きい年とH

ワールド

イスラエル軍、ガザのロケット発射地点を攻撃 停戦違
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 8
    トランプがベネズエラで大幅に書き換えた「モンロー…
  • 9
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 10
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 6
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 10
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中