ニュース速報

ビジネス

コムキャスト、フォックスのメディア資産買収提案 650億ドル

2018年06月14日(木)08時42分

 6月13日、米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャストは13日、娯楽・メディア大手21世紀フォックスのメディア資産を650億ドルで買い取る提案を行った。(2018年 ロイター/Mike Blake)

[13日 ロイター] - 米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャストは13日、娯楽・メディア大手21世紀フォックスのメディア資産を650億ドルで買収すると提案した。

前日には米連邦地裁が通信大手AT&Tによるタイム・ワーナーの買収を承認しており、コムキャストのブライアン・ロバーツ最高経営責任者(CEO)は規制当局の承認取得に強い自信を示した。

コムキャストは、ネットフリックスやアルファベット傘下のグーグルなど、コンテンツを作成して消費者に直接配信する企業に対抗するため配信事業と制作事業の統合を目指す従来型メディア企業の先陣となることが予想される。

コムキャストの提案は全額現金によるもので、フォックスの映画やテレビスタジオなどが対象。フォックスを巡ってはウォルト・ディズニーが株式交換による520億ドルの提案を行っており、コムキャストとディズニーは買収合戦に突入した格好だ。

コムキャストは自社の提案について、ディズニーよりも19%高いと説明した。

フォックス・ニュースやフォックス・ビジネス・ネットワーク、フォックス・スポーツなど、主なスポーツ・ニュース事業は別会社にスピンオフ(分離・独立)される。

コムキャストの提案は事業売却などの面でディズニーの案と類似した内容で、司法省が買収阻止の措置をとった場合に法廷で争う意向も示した。

コムキャストはフォックスのメディア資産に対し1株当たり35ドルを提案。ディズニーの提案は13日終値をベースにすると1株当たり29.18ドル相当となる。

コムキャストはディズニーと同様に、買収が実現しなかった場合に買い手側の違約金として25億ドルを支払うことを提案。さらに、コムキャストの案を受け入れた場合にフォックスがディズニーに支払わなければならない15億2500万ドルの違約金についても、コムキャストが負担するとした。

コムキャストは、4月に提案した300億ドルでの英放送局スカイの買収も同時に進めると表明した。スカイを巡ってはフォックスが完全子会社化を提案したが、規制当局が懸念を示している。

フォックスは、コムキャストから提案を受け取ったことを明らかにし、内容を精査する意向を示した。

一部のアナリストはコムキャストのフォックス買収について、コムキャスト傘下のNBCユニバーサルにフォックスの映画・テレビスタジオが加わることから、規制上のハードルに直面する可能性があるとみている。

司法省の通信作業部会のメンバーを務めたことのある弁護士、ケタン・ジャベリ氏は、「ディズニーもコムキャストも買収実現のために必要な資産を売却する意向のようであり、どちらかが大幅に有利な立場にあるとは思わない」と述べた。

税務の専門家は、コムキャストの全額現金による買収案を受け入れれば、フォックスを率いるメディア王ルパート・マードック氏一族は数十億ドルのキャピタルゲイン税を課されることになるため、コムキャスト案に難色を示す可能性があると指摘した。

また、モフェットネイサンソンのアナリスト、クレーグ・モフェット氏は、ディズニーのほうがバランスシートや債務コストなどの面で優れているとして、コムキャストとの買収合戦はディズニーが勝利する可能性があるとの見方を示した。

13日引け後の取引でコムキャスト、フォックス、ディズニーの株価はいずれもほぼ横ばいとなった。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テスラ、6月の英販売台数は前年比12%増=調査

ワールド

豪家計支出、5月は前月比+0.9% 消費回復

ワールド

常に必要な連絡体制を保持し協議進める=参院選中の日

ワールド

中国、太平洋島しょ地域で基地建設望まず 在フィジー
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 6
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 7
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 8
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 9
    吉野家がぶちあげた「ラーメンで世界一」は茨の道だ…
  • 10
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 3
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 6
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギ…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 10
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 7
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 8
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中