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ウクライナ戦争の教訓は「理念や価値観を共有する仲間は、多いほうがいい」

2023年03月01日(水)08時10分
廣瀬陽子+山口 昇+中西 寛 構成:西村真彦(国際日本文化研究センター 機関研究員)

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中西 中露関係にも影響がでているようですね。

廣瀬 中露関係では、中国がロシアのエネルギーを安く買いたたき、経済制裁によって欧米から物資を輸入できないロシアに対して、物資を高く売りつけるという状況が生まれています。中国による経済的な搾取が顕著になりつつあり、中国とロシアの関係も中国優位の形で格差がどんどん広がっています。

今後もロシアは中国なしではやっていけません。今回のことで中露関係は、中国に対しロシアが「ジュニアパートナー」に成り下がるという形で確定してしまったのです。

中西 今回のウクライナ戦争の注目点の1つは核の問題だと思います。核戦略や国際的な核管理の問題について、山口先生は、いかがでしょうか。

山口 欧米が関与してくるのであれば核兵器を使う可能性をロシアは示唆しています。それを国際的に認めるということは、非核兵器国が核を持つインセンティブを非常に高めるので、決して許してはいけません。

しかし、その点で幸運だったのは、2022年11月に習近平主席がショルツ独首相と岸田総理に会ったときに、核による脅しや核戦争には反対すると強い調子で表明したことです。

これまでの核兵器に関する中国の宣言政策は、相手から核を撃たれた場合に報復するための必要最小限の核を保有する、最小限抑止でした。今回のこの発言はこれまでの宣言政策に合致するものです。

中西 ウクライナ戦争がアジアの軍事情勢に与える影響を、どのように見ていますか?

山口 ウクライナ戦争から得た教訓は両面あります。1つは、中国が今回のような戦争をやるのもありだと考えたとすると、台湾が心配になります。

実際、昨年3月に前インド太平洋司令官のデイビットソン米海軍大将が上院公聴会で、2050年までには中国はアメリカを凌駕してナンバーワンになり、そして中国の台湾への野心が現実のものとなるまでに10年、場合によっては6年だと言いました。
 
中西 もう一つの教訓はなんでしょうか。

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