アステイオン

座談会

総合雑誌から新書、そしてネットフリックスへ──拡大し続ける「論壇」

2022年01月21日(金)15時50分
大内悟史+小林佑基+鈴木英生+田所昌幸+武田 徹(※アステイオン95より転載)

■鈴木 先ほどの武田さんの「受ける技」に関してですが、むしろ自分の判断で識者を選んで寄稿を頂戴したりインタビューしたりしているので、「受け手」というよりは自分がこうセレクトしているという感覚、こちら側が発信をしているという意識を僕はずっと、強く持っていました。扱う寄稿やインタビューの総体が自分の作品というか。

■武田 今回は誰をピッチャーに起用するか、どんな球を投げさせるか、実は受け手側が差配しているわけですね。ただ、ピッチャーはたいていは新聞メディア以外の人で、新聞社同士でボールの投げ合いはしない。

■鈴木 それは、あまりしないですね。

■武田 それはどうしてでしょうか? 

■大内 今は「週刊文春によると」などと新聞も書くようになっていますが、取ってきたファクトを自社紙面に載せるという競争が大事で、よく言えばファクトの孫引きはしたくないという新聞社の矜持なのだと思います。

朝日新聞の「論壇時評」でも「日経新聞でこういう論調がある」と紹介することはあまりありません。その議論がもし必要なら自分たちの手でやるという、いい意味での突っ張りなのかもしれません。

しかし、全体をなるべく公平に見渡して論調をまとめるという意味では、そのご指摘は受け止めなくてはいけないと思いました。

※後編:人柄と語り口が武器になる時代──「ネット論壇」は本当に可能か に続く。


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 特集「アカデミック・ジャーナリズム」
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