アメリカ史の大半は民主的な国ではない
アメリカはその歴史の大半の期間を通じて、取り立てて民主的な国だったわけでもない。ほとんどの州は建国当初、選挙の投票権を財産を所有しているか、納税している白人男性に限定していた。その対象者は人口の約6%にすぎなかった。
1870年にようやく全ての州で黒人に投票権が認められたが、対象は男性だけだった。しかも多くの州では、過度に厳しい有権者登録要件、暴力や暴力の脅し、時には殺害により投票が妨げられ続けた。
女性が全ての州で投票権を獲得したのは1920年。その後も女性たちはさまざまな形で投票権の行使を妨害された。アメリカ先住民に法律上、市民権と投票権が認められたのは1924年のことだ。
選挙の投票権以外の面でも、全てのアメリカ人が平等だったことは一度もない。数々の根深い差別や特権により、法律上認められているはずの平等を享受することが限りなく不可能に近い人たちがいたのだ。人種や性別、さらには富や社会的地位が不平等を生む要因になっている。
アメリカの社会に政治的な分極化と不寛容が充満しているのは、今に始まったことではない。アメリカがイギリスの植民地だった1760年代、独立派は独立反対派の人たちの体にタールをかけ、そこに大量の羽毛を付着させてさらし者にするというリンチをよく行った。
19世紀前半には、東部沿岸の都市で排外主義者がカトリック教徒や新しい移民たちを襲撃し、殺害することが頻繁に起きていた。
1830年代には、多くのアメリカ先住民が西部に強制的に移住させられて、「涙の道」と呼ばれる移動の道中で数千人が死亡した。
一方、白人が西部に入植すると、数十万人、ことによると数百万人の先住民が殺されたり、病死したり、居留地に押し込められたり、自分たちの固有の文化を消し去られたりした。