累進課税のバランス崩壊で実質的な増税が起きる
経済が成長したことによる税収増は実体を伴う税収増といえるが、経済が成長しないなか、インフレの進行による税収増はあくまで見かけ上の変化にすぎない。
一方で、物価が上がると税制面ではさまざまな問題が起きてくる。最も大きいのは累進課税のバランスが崩れることだろう。
日本の所得税は、所得が高いほど税率が上がる累進課税となっている。インフレが進んで物価や賃金が2倍になると、年収500万円だった人は1000万円となり、自動的に高額所得者の税率が適用されてしまう。
賃金が上がっても物価も同じだけ上がっているので、実質的に見れば当該国民は1000万円の税負担には耐えられない。累進課税の制度においては、物価上昇に合わせて税率区分を見直さない限り、税率が高い人の数が増えてしまい、実質的に増税になってしまうのだ。
インフレは地方税収にも影響を与えている。
日本では税収の多い自治体とそうでない自治体の財政状況の差を埋めるため地方交付税交付金制度を運用している。この制度も経済が成長しないなかでの恒常的な物価上昇を想定していないため、物価が上がると東京など税収が多い地域の税収が大幅に増え、そうでない地域との格差が想定外に拡大してしまう。