この図式はコロナ危機で問題視された医療逼迫の問題と全く同じである。以前、本コラムで指摘したように、諸外国と比較して感染者数が少ない日本において医療逼迫が発生するのは、病院の経営に余裕がないからである。

日本の診療報酬は安く、病院は多数のベッドを用意しないと経営が成り立たない。日本の医療従事者は欧米と比較して3倍の数の患者を担当しなければならず、常にマンパワーが不足している。こうしたところにコロナ危機のような非常事態が発生すると、たちまち人材が枯渇してしまう。

日本は国民皆保険制度を採用しており、保険料の滞納さえなければ最先端の医療をわずかな自己負担で受けられる。これは世界に誇るべき制度である一方、全国民に医療を無制限に提供すれば財政は逼迫する。日本経済が伸びていれば制度を維持できたかもしれないが、経済の長期低迷によってそれも困難となりつつある。あまり考えたくない現実だが、サービス水準の見直しなど、根本的な対策について議論すべきタイミングが来ている。

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