著者がこの「Radical Candor」というマネジメント・スタイルについて考えるようになったきっかけは、グーグルに勤務した直後にシェリル・サンドバーグから与えられた非常にダイレクトな意見だった。
社内プレゼンテーションでボスたちに良い印象を与えたと自負していたキムに、シェリルは「um(あの〜、え〜っと)とよく言うのに気付いている?」と尋ねた。
キムは「知ってる」と答えたが、内容さえ良ければそんな些細なことはどうでもいいのに、と感じた。
「緊張するから? スピーチのコーチを紹介してあげましょうか? グーグルが払うから」というシェリルの提案に、キムは「別に緊張なんかしない。ただの口癖だと思うわ」と手で振り払うようなジェスチャーをした。
「あなたの仕草は、私が言っていることを無視しようとしているみたいね」とシェリルは笑った。そして、こう言った。
「どうやら、わかってもらうためには、とても、とても単刀直入になるしかないようね。あなたは、私が知っている中でも最高に優秀なひとりだけれど、umを言い過ぎると頭が悪いみたいに聞こえるのよ」
そして、「朗報は、スピーチ・コーチがumの癖を直すのを手伝ってくれるということ。私には偉大になれる人がわかる。あなたは絶対にこの癖を直せるわ」
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キムはそれまで何十年も人前でスピーチをしてきたのだが、それまで誰ひとりとしてこの口癖を指摘してくれる人はいなかった。キムは以前にイベントの講演に「これまでのキャリアをずっとズボンのジッパーを開けたまま歩きまわっていたようなもの。なぜ誰も言ってくれなかったのか」とジョークを言ったが、相手の心を傷つけてはいけないという周囲の思いやりがかえってアダになるところが似ている。
シェリルとキムはハーバード大学ビジネススクールの同級生だったということもあり、すでに信頼する人間関係があった。そして、キムのことをシェリルは個人的に思いやっていた。そのうえで、「あなたは、ここを直せば向上できる」とチャレンジしたわけだ。
でも、職場でこれをしてくれるボスはほとんどいない(キムは「ボス」という言葉を気に入って使っている)。