「セコいよなぁ」 「自民党が(10%と)言っているからやるって、どうなの?」──。

 先週、菅直人首相が自民党の消費税率を10%に引き上げる案を「ひとつの参考にする」と語ったマニフェスト発表会見が終わった直後、報道席にいた周りの記者からそんな声があちこちで聞こえた。

 確かに「セコい」が、会見で筆者がそれ以上にセコいと感じたのは、消費税率の問題のみを超党派で議論するという菅のご都合主義だ。

 もっとも、日本の財政状況は国家的な危機だし、超党派で議論するべき問題ではある。ただ民主党の場合、「増税」という国民負担が増えるというある意味で不人気な政策にのみ「超党派」の看板をつけて他党にも一緒に泥をかぶってもらおうという姿勢が見え隠れしているような気がしてならない。

 郵政改革など、本来ならば超党派で議論するべき重要な政策は他にもあるはずだが、通常国会での民主党の強引な立ち振る舞いを見る限り、他の問題について彼らが超党派で議論する意思も度量もあるようには見えない。

 マニフェストについても「セコい」と言わざるを得ない。

 かつて菅は、当時の小泉首相から「この程度の約束を守れなかったことは大したことではない」という答弁を引き出し、「すんごい答弁ですねぇ」と返したことがある。その菅が、今や「踏襲すべきものは踏襲し、改めるべきものは改めていきたい」と主張している。

 厳しい財政状況に適応するための現実主義とも受け取れるが、それ以上に、単純に見通しが甘かっただけなのではないだろうか。08年のリーマン・ショックによる世界的な金融危機で税収が減るのは素人目にもわかっていたこと。政権を取ってから税収が予想以上に低かった、と言い訳するのはあまりにもお粗末といわざるを得ない。

 この点について、会見で同席していた民主党の玄葉光一郎・政調会長は「率直に国民にお詫びしたい」と語った。正直な対応といえる。しかし、総理・党代表である菅からは、マニフェスト修正について一言も説明がないまま終わってしまった。菅本人が公約、そして自身の発言の重さをどこまで認識しているのか、疑問に思えてくる。

 03年にマニフェストをこの国で初めて導入したのが他ならぬ菅だったことを考えると、なおさらだ。総理になった今、自身の言葉で説明もせずそれを修正すると言うのであれば、ここ数年のマニフェスト論議はいったい何のためのものだったのだろうか。日本をよりよい国にするための青写真ではなく、政権を取るための「道具」に過ぎなかったのだろうか。

 この男はいったい何を成し遂げたいのか、そしてこの国をどこに導きたいのか、いまだにはっきりしない。

──編集部・横田 孝

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