[ニューヨーク 10日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の利上げが迫った影響で、過去数年に株主利益の向上に寄与してきた米大企業の自社株買い効果に陰りが出てきた。ことしも大量の自社株買いが実施されたが、実施企業の株価がS&P総合500種株価指数<.SPX>に比べてアンダーパフォームしているのだ。

FRBは来年に向けて緩やかながらも長期間の利上げサイクルに入ると見られており、大企業の借り入れコストは着実に上昇する可能性がある。

アメリプライズ・フィナンシャル(ボストン)のチーフ市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏は「0.25%の利上げなら大した違いはない」とした上で、利上げが続けば資金を借りて自社株買いに充てている企業への打撃が最も大きくなると予想する。

アナリストは、そうなれば、株式の数を減らすことよりも企業のバランスシートの質の方が重要性を増すと見ている。

自社株買い比率の高い企業で構成するS&P500バイバック指数<.SPBUYUP>は今年既に、利上げ予想を一因としてS&P総合500種指数のリターンを4%ポイント超も下回っている。

この変化は大きい。ここ数年、自社株買いにより株主に利益を還元する企業は、市場で高く評価されてきた。今年は不振だったとはいえ、2010年初め以来で見るとS&Pバイバック指数はS&P総合指数を約24%ポイントもアウトパフォームしている。

ロイターの分析によると、企業の自社株買いは設備投資に比べて急増している。この背景には株主からの圧力に加え、1株当たり利益と給与を連動させる幹部報酬制度などがある。

しかし金利が上がれば、自社株買いのための資金調達コストは当然のことながら上がる。

利上げの影響を受けそうな企業として、CBSコープ<CBS.N>、コカ・コーラ・エンタープライズ<CCE.N>、ゼロックス<XRX.N>、ベリサイン<VRSN.O>、タイム・ワーナー<TWX.N>、ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>が挙げられる。ゴールドマン・サックスは、レバレッジ比率や資産に対する売上高の比率などの尺度で見て、バランスシートが弱い企業の株価動向を調査するためにバスケットを作成しており、その中にこれらの企業は入っている。

これらの企業はまた、自社株買いの規模の大きさでも際立っている。レバレッジを掛けて自社株買いを進めたことで、ゼロ金利時代を特徴付けた長い強気相場の間、ずっと勝ち組を続けてきた。

しかし2015年の株価動向はまだら模様だ。ベリサインは60%超も上昇して突出したアウトパフォーム株となったが、GM株の上昇は1.6%にとどまり、タイム・ワーナーは約20%下落した。

ゴールドマンは、2016年は金融環境が引き締まるため、この種の企業は引き続きアンダーパフォームすると予想している。

だからといって、自社株買いが止みそうな気配はない。S&Pダウ・ジョーンズ指数データによると、S&P500社の4四半期の自社株買い(ローリングベース)は約5600億ドルに達した。

これは2008年第1・四半期以来の最高で、07年第4・四半期に記録した5890億ドルの過去最高に近い。ゴールドマンは、企業が1株当たり利益を伸ばそうと苦心する結果、16年はこれが6000億ドルを超えると予想している。

クレディ・スイスのHOLTグループの会計・税金ストラテジスト、ロン・グラジアノ氏は「市場はバリュエーションが過去最高を更新する状況に達しているため、これらの企業がいつまで自社株買いを続けられるかは定かでないし、質の方が重要な要因になってくるだろう」と語った。

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