[東京 1日 ロイター] - 景気の足かせとみられていた設備投資が堅調な伸びを見せている。1日発表の法人企業統計で明らかになった。7─9月期国内総生産(GDP)2次速報の押し上げ要因となり、2期連続マイナス成長を免れたとの見方も民間エコノミストから出ている。
ただ、設備投資関連統計には弱いデータも混在。世界経済の先行きも不透明で、増勢が持続するのかなお見通せない情勢だ。
<GDP2次速報、ほぼゼロ成長の公算>
7─9月期GDP1次速報で前期比マイナス1.3%だった民間設備投資は、法人企業統計を反映してプラスに修正されるとの見方が広がっている。
バークレイズ証券は前期比プラス1.5%、みずほ証券は同プラス1.4%、農林中央総合研究所は同プラス0.8%と、いずれもプラス成長を予想。三井住友アセットマネジメントは同マイナス0.6%ながら、マイナス幅は縮小するとみている。
ただ、GDP全体がマイナス成長から脱却できると断定はできない。公共投資や在庫投資を正確に見通すことが難しいためだ。
バークレイズ証券は、プラス0.2%(年率プラス0.6%)、農林中金総合研究所はマイナス0.04%(年率マイナス0.2%)と予測する。みずほ証券は「2四半期連続のマイナス成長ではなくなる可能性も生じてきたが、プラスになったとしてもほぼゼロ成長」と見通している。
<設備投資の持続性に確信持てず>
さらに民間シンクタンクの頭を悩ませているのが、設備投資の持続的な増勢が可能かどうかという問題だ。
設備投資関連のデータが、経済指標によりまちまちで「これだけ関連指標の動きがかい離すると、実勢がどこにあるのか、正直なところ判断は極めて難しい」(BNPパリバ証券)との声が上がっている。
日銀内では、これまで強めだった設備投資計画が12月短観で下方修正されるのは確実との見方も出ており、その修正幅がどの程度のマイナスにおちつくのか関心を寄せている向きもある。
政府は11月月例経済報告で設備投資の判断を「持ち直し」から「横ばい」に下方修正したばかり。このため足元の動きにいら立ちを募らせる関係者もいる。
というのも、企業マインドに弱さがみえるからだ。11月ロイター短観では製造業・非製造業ともマインドが悪化。また、下期の設備投資計画について下方修正ないし様子見案件があると回答した企業は、製造業で2割を超えている。中国やアジア新興国の需要減速が受注の減少を招いていることが影響している。
10月鉱工業生産でも、設備投資に関連性のある一般機械は生産計画を大幅に下回り、在庫調整に入っている。
「労働力不足という供給制約も、企業の業容拡大の足かせとなる」(BNPパリバ証券)といった要因もありそうだ。
期待できるのは「必ず出てくる更新投資」(経団連幹部)との期待感もある。すでに日本企業の平均設備年齢15─16年と老朽化しているため、それだけでもある程度の投資規模になるとの見方だ。
さらに自動車運転技術やモノのインターネット化(IoT)などへの投資にも、政府の後押しとともに期待が高まる。
政府が指摘するように、企業の手元流動性の積み上がりは、今回の法人企業統計でも鮮明だ。現金預金と有価証券を合わせると、売上高に対する比率は14.2%となり、前年同期の13.7%から上昇した。
こうした資金を生かし、海外経済減速という逆風に中でも次世代をにらんだ製品・サービスの高度化投資が動き出すのか、そこが設備投資の増勢持続を占う焦点となりそうだ。
(中川泉 編集:田巻一彦)