こうした状況で、イラン政府を率いるペゼシュキアンは事態の沈静化を図るために新たな改革を発表し、治安部隊には力の行使を控えるよう呼びかけている。

ただし、ハメネイに頭の上がらない大統領の働きかけくらいで国民の不満が鎮まるのか。そしてアメリカによる軍事介入のリスクを回避できるかも不明だ。

「アメリカには他国の内政に干渉してきた長い歴史がある」と指摘するのはトロント大学のカリミだ。1953年のイランの軍事クーデターに関与し、石油国有化を進めるモサデグ政権(当時)を倒し、直近ではベネズエラの大統領を引きずり降ろした。

「こうした歴史を踏まえてアメリカ側の発言をイラン政府も国民も解釈している」とカリミは言う。

「しかし他国からの干渉があるとしても、それで抵抗運動の正当性が揺らぐわけではない。誰が大統領になろうと、イランの政治体制には、現在のような経済・社会危機に対処する政治的意思も能力もないのは事実だ」

同時に多方面から圧力が

現大統領のペゼシュキアンは穏健路線に傾いているようだが、軍部は違う。国軍のアミール・ハタミ最高司令官は1月7日に、介入の可能性を示唆したトランプ発言に反発して「敵が過ちを犯すなら、より断固たる対応に直面するだろう。われわれはあらゆる侵略者の手を断ち切る」との声明を発している。

「複数の王手」状態