そのためにスピネッリとロッシは、権力分立、経済の民主化、文化的包摂、進歩派の超国家的な連合の政治的必要性を説いた。これに対し、メローニは「それがあなた方の欧州なのかは分からないが、間違いなく私の欧州ではない」と反論した。
しかし、イタリア国外ではほとんど注目されなかった。おそらく現在の欧州は、初期の連邦主義者たちの構想よりもメローニの党「イタリアの同胞」のビジョンにずっと近いからだろう。
今やEUのエリートたちにできるのは、メローニの「移民管理」モデルを称賛するか、わずかな貿易上の譲歩を得るためトランプにへつらってみせることぐらいだ。ウルズラ・フォンデアライエン欧州委員会委員長が呼びかけた「欧州再軍備」は、アルバニアの防空壕建設運動を思い起こさせる。

来たるべき年を考えるとき、私はカントの教えに立ち返る。彼は人間社会の未来を真に予測できる者はいない、と言った。出来事の経過は必然性ではなく、自由に依存するからだと。
それ故、今後起こり得る事態を推測するよりも、私は希望を語ろうと思う。EUの制度に生命を与えた理念が、移民の権利を守るため、戦争の機械的メカニズムに抗するために、再び人々に支持されるという希望だ。
それは道徳的責務であり、結果がどうあれ放棄されることはない。進歩は必ずしも保証されていないが、私たちがそれを信じて行動する限り、可能性は常にある。
レア・イピ
(ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授・政治理論)
専門はカント、マルクス主義と批判理論。アルバニアでの少女時代からつづる哲学的自伝『FREE』(邦訳・勁草書房)は30言語以上に翻訳されている。
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