<それでも幸せなフィンランド人>
とはいえ、幸福は経済だけで決まるものではない。
幸福度調査で人びとが答える「人生評価」は、国全体の経済状況よりも、レジリエンス(強靱性)や「悪い時に、協調的かつ建設的に物事に向き合う力」といった要素に左右される。報告書の創設編集者であり名誉教授のジョン・ヘリウェル氏は、そう説明する。
「もちろん、フィンランドはレジリエンスが非常に高い」
調査会社ギャラップの最近のデータによると、フィンランド人が感じている「感情的な幸福感」は、昨年から大きく変わっていない。同じ調査で集めた「人生評価」のデータは、次回の世界幸福度報告書とともに、来年公表される予定だ。
幸福度報告書は、1人あたりGDP、社会的支援、健康寿命といった指標もあわせて評価している。
長期失業による経済的な打撃に翻弄されながら、パロマーさんが足しげく通うようになった場所がある。ヘルシンキのバルト海沿いにある、無料のコミュニティーサウナだ。運営も資金集めも、すべてボランティアが担っている。
「サウナでは誰もが平等だ。その人がどんな仕事をしているのか、どんな人なのかは見た目からは分からない」と彼は言う。
失業1000日目に何をするべきか。パロマーさんが、交流サイト(SNS)でフォロワーに尋ねたところ、閲覧数は100万回に達し、多くの提案が寄せられた。その中には、彼が国会議事堂前で実際に開いた「食べ物持ち寄り集会」があった。
「もちろん、今の状況を祝いたかったわけではない」と、霧雨のなか自家製のペストリーを振る舞いながら語る。
「それでも、何か行動を起こさなくてはいけない」

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