――作品を重ねる中で新たな出会いが増えていきますが、柴咲さんにとっての作品作りの醍醐味というと?
自分で完全に作品を選んでいなかった時期は、出来上がった作品に対して手ごたえを感じていましたが、いまはつくる過程が楽しいです。俳優部、照明部、録音部、撮影部がいて⋯⋯。みんなでセッションを楽しんでいます。毎日撮影に通うのが楽しいので、我ながら良い歳の重ね方をしているなと思います。人生もそうですが、過程が楽しいのは一番幸せな状態ですよね。
――歳を重ねる中で惹かれる作品は変化してきましたか?
大義を内包しているということは当然ありながら、局所的な作品だからこそマクロの課題を浮き彫りにするような作品に惹かれますね。『兄を持ち運べるサイズに』は観た人の家族に対する価値観が浮き彫りになるであろう作品。『でっちあげ』は情報化社会が抱えている問題が浮き彫りになる作品です。
私の人生におけるキーワードは"前提や常識を疑う"ということなんですが、常識に吞み込まれてしまっている自分に気付かせてくれたり、姿勢を正してくれたりする作品に魅力を感じます。あと、どちらかというとヒール役がやりたいです。

――音楽活動や実業家としての活動もある中で、役者活動はどんな場所になっていますか?
俳優を始めたのは10代でしたが、同じ時期に全部の活動を始めていたらどうなっているんだろう?と思います。たまたま俳優から始めたというのはありますが、安心感はありますね。長く続けている分、できることが増えている気がしますし、深掘りもできている気がする。それを体現することで自信に繋がっていると思います。
――今後の仕事のバランスにおいて、理想としているバランスやビジョンはありますか?
はっきりとは考えていないんですが、表に出る立場だったとしても裏方だったとしても、先ほどお話したみたいに私がつくったものから間接的に影響を受けてくれる人がいたら最高だなと思います。
『兄を持ち運べるサイズに』
脚本・監督/中野量太
原作/『兄の終い』村井理子 著(CEメディアハウス刊)
出演/柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかりほか
11月28日(金)より全国公開
www.culture-pub.jp/ani-movie
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