国外の投資家もこの状況を理解している。ドイツの自動車大手フォルクスワーゲンは、稼働率が50%台まで落ちたことを理由に2つ目の工場の閉鎖を計画している。メルセデス・ベンツは中国市場での業績低迷を理由に収益見通しを引き下げた(おかげで株価が急落した)。その他の外資系企業も同様に苦戦を強いられており、それら企業の本国政府は中国政府と中国市場に対する距離感の見直しを迫られている。

つい先日まで、これら諸国は中国が「おいしい市場」だと信じ、政府の機嫌を損じないように努めてきた。しかし今の中国市場は悲惨で、それを政府が改善できる見込みもない。そうであれば、もう中国にこびる必要はない。中国製品には高率関税を課せばいい。台湾問題でも、ドイツを含むOECD(経済協力開発機構)の主要加盟国が台湾支持に転じつつある。

こうした変化はまだ始まったばかりだが、数年後にはどうなっていることか。経済の活力を失った中国で、政治的な拡張主義の野望も縮んでいけばいいのだが。
newsweekjp_20240701034059.jpg練乙錚

YIZHENG LIAN

香港生まれ。米ミネソタ大学経済学博士。香港科学技術大学などで教え、1998年香港特別行政区政府の政策顧問に就任するが、民主化運動の支持を理由に解雇。経済紙「信報」編集長を経て2010年から日本に住む。
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