パックン 教える文化と見習う文化の違いですよ。日本では芸を見て盗むって言うじゃないですか。この道20年でやっと一人前みたいなことを言うけど、「いやいや、ちょっと指導すれば半年でできる技でしょう」と。日本のお客さんとアメリカのお客さんのウケ方の違いは何ですか。

村本 アメリカのお客さんの「フウーッ⤴」て盛り上げるやつ? みんな楽しみ方を知ってるなと思う。日本人はやっぱりおとなしいのか、みんな最初は教習所の違反者講習みたいなの。

パックン アメリカでは拍手も笑いもヒューヒューもある。引くときのリアクションも口に出してくれて、それも笑いが生まれる瞬間じゃない?

そういえば映画では、コロナ禍でライブが次々中止になって泣いているシーンがあった。アメリカでは、不安で押しつぶされそうになって思わず泣いてしまったりは?

村本 ありましたよ、うん。だって滑ることばっかりだし、言葉も分かんないし、悔しくて電話しようと思っても日本は真夜中だし。そんなことが続くと、急に涙があふれてくることもありますよ。でもネタがウケたときはほんっとにうれしいから、全部チャラになる。1人でマンハッタンの夜中に「ウケたぞー!」って。

一番悔しかったのは、オープンマイクで俺の後に出たコメディアンに、しゃべり方をまねされたこと。でもその日は俺のほうがウケていて、こいつは英語しゃべれるのにしゃべれない奴より滑ってるよ?って思った。だって、乙武(洋匡)さんにマラソンで負けるようなものでしょ。

パックン 僕は笑いませんよ。

村本 そんなとき、俺はもともと自分が持っていない言葉で挑戦して、この悔しさを笑いで取り返すっていう気持ちになる。

パックン 挑戦してるだけでかっこいいし、自分に言い聞かせることも大事ですよ。僕は英語に挑戦している日本の皆さんの励みになるよう、テレビでわざと日本語を間違えるんです。本当は完璧にしゃべれるけど、わざと間違える。

村本 俺も英語を間違えたら、そう言おう。

(構成・大橋希)

<本誌2024年8月13/20日号掲載>

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