「私は、天井とあらゆる配管を突き破った。20秒の間に、ありとあらゆることが脳裏を駆け巡った」

乗客の1人シルビア・ガルシアは、スペインの新聞「エル・パイス」に対してこう語った。「人生最後の日だと思った。パイロットは乗客に、8秒で500メートル降下したと話していた。乱気流どころではない」

「天井からぶら下がっている人が何人もいて、ひどいケガをして、足がぶらぶらしていた。人が空中を飛び、落ちてくるのを見た」と、ガルシアは付け加えた。

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「あれは乱気流なんてものじゃない。垂直降下だ。ただ揺れたのではなく、真っ逆さまに落ちた」と、43歳のウルグアイ人で心理学者のクラウディオ・フェルナンデス・アルベスはAFP通信に語った。

航空機の機体が安定を取り戻した時には急ブレーキがかかり、「車が衝突したかのように感じた」と、フェルナンデスは振り返った。多くの人は、他の乗客や、飛んできた物にぶつかった、とフェルナンデスは証言している。

複数の目撃証言によれば、2歳の子どもが荷物入れから出られなくなったほか、何人かは天井からぶら下がったままになり、落ちてくる時にケガをしたという。

アメリカ連邦航空局(FAA)によれば、乱気流はさまざまな気象条件によって、予想もしないところで起きる可能性があるという。乱気流によるケガの事例は比較的稀だが、FAAは、2022年に17件、2021年に6件の重傷事例があったと報告している。この5月には、ロンドンを出発したシンガポール航空のフライトが激しい乱気流に巻き込まれ、その後イギリス人の高齢男性が心臓発作とみられる症状で死亡する事故が起きた。

今回のUX045便の飛行中に起きた事故は、空の安全、さらには乱気流が民間航空にとって今後さらなる脅威になりうるのか、という問題をめぐる懸念を高めるものだ。激しい乱気流は稀なものであり、避けることができるケースが多いが、最近の研究では、気候変動がそのリスクを増大させている可能性が指摘されている。

(翻訳:ガリレオ)

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