
──劇作家として今後やっていきたいと思うことは?
テネシー・ウイリアムズだって面白い短編もたくさんあるけど、やっぱり今残っているのはほぼ初期の『ガラスの動物園』『欲望という名の電車』の2本ですよね。だから、そんなに歴史に残るものを何十本も書けないんですよ。ただ僕の場合は『ソウル市民』があり、『東京ノート』があり、『S高原』があり、幸いにして今も世界中で上映してくださるというのは、それは劇作家としては非常に幸福だったと思います。
ただ、そうは言ってもここに留まるんじゃなくて、60代の平田オリザにしか書けないものはあると思っています。例えば『日本文学盛衰史』*、あれは書くのがすごい大変だったんですよ。あれだけの大作で登場人物の細かい一覧表まで作ったから。でも、そういう時間かけてきちんと書く作品もやりたいなとは思います。それと学生たちとも何年かに1回はやりたいですね。
*高橋源一郎の同名小説を原作にした作品。北村透谷、正岡子規、二葉亭四迷、夏目漱石という明治の文豪の葬儀を舞台にコメディタッチで描いた青春群像劇。上演時間が休憩なし2時間20分、出演者24人という大作で平田は第22回鶴屋南北戯曲賞を受賞した。
地方に暮らす人びとの営みを描いていく
──ご自身に子供ができたとか、そういうことの影響は?(2017年、55歳にして初めて子供ができた)
児童劇に関してはあります。今年も、ほんとに小さい20分くらいの作品を今書いているところなんですけど、そういうのはあります。
──お子さんの存在が作家としての代表作へ与える影響は?
それは多分ないでしょう。でも、地方に移住したことの影響はあると思います。やっぱり、地方に暮らす人々の喜びとか悲しみという部分は。たまたま『東京ノート』ってそういう内容で、よくあんな芝居をあの時代に書いたなって自分でも感心するんですけど。
でももうちょっと、今の時代の地方に生きる人たちとか都会に出ざるを得なかった人たちのこととかは、わかるようになったかなって感じがする。次は多分、そういう作品を書くと思うんです。
