<正しい使い方>

米住宅都市開発省によると、2023年に全米でホームレスを経験した人は65万3000人余りと前年比で12%増加した。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のカリフォルニア政策研究所でエグゼクティブディレクターを務めるジャニー・ラウントリー氏は、最近の調査から一回だけの現金支給やその他の支援措置だけで、ホームレス拡大の流れを止められることが分かっていると強調する。

昨年ノートルダム大学が公表した調査では、カリフォルニア州のサンタクララ郡でホームレス危機にさらされていた人の81%は、半年にわたる金融支援プログラムを適用されているうちにそうなる確率が低下した。

ラウントリー氏は「(困窮)世帯を適切なタイミングで把握し、債務や家賃の支払い援助のために2000─6000ドルを支給すれば、住宅を安定的に維持する態勢に戻すことが可能だ」と述べた。

同氏はロサンゼルス郡の実験につながる調査研究を主導し、この実験の評価作業にも関与している。

ただ、当局はまず援助が必要な世帯を見つけ出さなければならず、その分野で試験的に導入されたのがAIだった。こうした世帯が判明すれば、郡のホームレス予防部門からジョセリン・バタス氏のような専門のマネジャーが派遣される。

バタス氏の話によると、突然、対象世帯に電話をかけて自己紹介しても最初は疑いを持たれる場合があり、詐欺ではないと納得してもらった上で、まずは個々の住宅費用や公共料金などの状況を知り、適格者には数日以内に金銭的な支援や融資、就職、保険加入なども世話もする。さらに精神的な支援も提供するという。

専門家の一人は「これは従来なら接点を持てなかった危機的な世帯と確実につながるための正しい技術の使い方だ」と述べた。

<支援の効率化>

ハーバード大学のスティーブン・ゴールドスミス教授(都市政策)も、AIは人間が作業するよりも最も支援が必要な世帯を効率的に発見してくれると説明。「(ホームレスの)予防は複雑なので、AIが個々のニーズに応じて必要なサービスに焦点を当てることで、各都市はより効率的に動ける」と付け加えた。

新型コロナウイルスのパンデミック期間にホームレスの数が倍増したカナダのオンタリオ州ロンドン市でも、AIが活用されつつある。同市幹部のクレイグ・クーパー氏は、既に一時宿泊施設に入っている人々のデータを分析して一番危機的な人を探り当てるためにAIが使われ、今のところ精度は非常に高いようだとの見方を示した。

ロサンゼルス郡のサンチェスさんは、支援プログラム期間を終えて数カ月で元通りの生活に戻ることができて感謝している。健康面の問題も解消し、6月に高卒資格を得て子どもも生まれる。

同郡のAIによる実験で「多大な援助を得られ、今はこの場所がより安全だと感じられる」という。

[ロイター]
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