<規格外品の冷凍焼おにぎりや今川焼を発酵させて除菌ウエットティッシュにアップサイクルし、食品ロス解消に努めている>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや製品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えのもと、ニューズウィーク日本版はこの春、「SDGsアワード」を立ち上げました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

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   冷凍食品大手の株式会社ニチレイフーズは、食品ロス削減に貢献する取り組みを推進している。2022年から新たにスタートしたのが、株式会社ファーメンステーションとの協業による自社製品の規格外品をアップサイクルした除菌ウエットティッシュの開発だ。

自社製品の規格外品を再利用して、除菌ウエットティッシュを開発

人口増加による食糧危機も指摘されるなか、「食品ロス削減」は社会全体で取り組むべき喫緊の課題のひとつとなっている。しかし、世界で約13億トン、日本だけでも約523万トンもの食料が毎年廃棄され続けているのが現状だ。約523万トンと言えば東京ドーム約5杯分であり、いかに大量の食料が無駄にされているかが分かるだろう。

こうした中で、冷凍食品大手の株式会社ニチレイフーズは2022年に食品ロス削減に貢献する新たな取り組みを開始した。それが、自社製品の規格外品を再利用した意外な製品の開発だ。

この取り組みは、食品・飲料の製造過程で出る規格外品・副産物や農産物の規格外品などを独自の発酵技術でアップサイクルさせることで注目を集める株式会社ファーメンステーションと協業して実施。ニチレイ「焼おにぎり 10個入」の規格外ごはんを丸ごと発酵・蒸留し、エタノールを生成することで、除菌ウエットティッシュへと生まれ変わらせることに成功した。

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焼おにぎりから除菌ウエットティッシュができるまで

2023年4月には、第2弾としてニチレイ「今川焼(あずきあん)」の規格外品からも、同様に除菌ウエットティッシュを開発している。

サステナビリティ推進部の佐藤友信氏は、「エタノールと同時に生成される発酵粕は、ニワトリの飼料や、当社の従業員が主体となって植林・育林活動を行っている『ニチレイ育みの森』の肥料として、余すことなく活用しています」と話す。

食品残渣に社会的価値を見出し、より豊かな社会の実現を目指す