ジアノプロスによると、国防総省では、孔子学院という名称ではなくても、国防総省による資金援助の基準を満たさないプログラムを特定しているところだという。

しかし、米政府関係者による政治色の強い発言だけでは、孔子学院の複雑な背景は理解できないと指摘する専門家もいる。

「孔子学院の教師たちは中国共産党の美辞麗句を宣伝したのか?そのとおり。一方的に彼らを悪者扱いしたことで、本物であったかもしれない交流の機会が制限されたか?それも正しい。従って、孔子学院の閉鎖はプラスとマイナスの両方の影響をもたらしている」と、米ワシントンのシンクタンク「グローバル台湾研究所」のリサーチ・アソシエイト、エイドリアン・ウーは本誌に語った。

ウーは、孔子学院だけに注目するよりも、大学のプログラムに対する中国の資金がどこからくるかを精査し、その影響を見極めることが重要だと述べた。そして、中国からの資金提供がすべて悪いとは限らないが、「自己検閲の環境を醸成したり、意図せず中国共産党のレトリックをそのまま繰り返すような」潜在的な悪影響は避けられるよう教員が訓練を受けるべきだと付け加えた。

台湾にとってのチャンス

孔子学院の閉鎖は、他の西側諸国でも同様に行われている。

イギリスのリシ・スナク首相は昨年、ボリス・ジョンソン前首相の後任に指名された際、イギリスで運営されている孔子学院30カ所をすべて閉鎖すると主張した。

孔子学院の閉鎖は、台湾がソフトパワーを強化できるめったにないチャンスだ。

米議会上院は9月、アメリカと台湾の政府が共同出資する米台教育イニシアチブへの参加を高等教育機関に検討するよう促す超党派の決議案を提出した。

ウーは、米台教育イニシアチブには戦略的な効果があり、これまでのところ「目覚ましい成長」を示していると考えている。

そのひとつである台湾標準中国語学習センター(TCML)は、アメリカに35カ所、ドイツ、フランス、英国に各2カ所、アイルランド、スウェーデン、ハンガリー、オーストリア1カ所設立されており、世界的にプレゼンスを拡大しようとしている。

孔子学院とは異なり、TCMLの講師は中国に雇われているわけではないので、中国当局に縛られることはない。また、中国で使用されている簡体字ではなく、台湾人が現在も使用している伝統的な繁体字を教えている点も特徴となっている。

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